ブザーとフランネル

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ブザーは、呼鈴のことですよね。「ブザーを鳴らす」というではありませんか。
でも、ほんとうのところ、ブザーとは何か。『日本国語大辞典』を開いてみますと、こんなふうに説明されています。

「電磁石を利用して振動板を振動させ、音を出す装置。警報や呼び出しなどの信号として用いる。」

なるほど。さすがに正確であります。「ブザー」は、昭和のはじめからすでに一部では使われていたようですね。

「賭場の鴨居についている大きなブザーが底気味悪く唸り出す。賭場の電灯が瞬くように消えたり点いたりする。」

昭和十三年に、久生十蘭が発表した長篇『魔都』に、そのような一節があります。
久生十蘭の『魔都』は、昭和十二年『新青年』十月号から、翌年の十三年十月号まで連載されたミステリ。当時としては、とてもハイカラな内容だったようですね。

「………万雷の如き拍手喝采を受けた久生十蘭氏は、本号より連載の長篇『魔都』によって………」

これは編集部からの文章。久生十蘭の『魔都』が、いかに期待されていたかが、窺えるものでしょう。

ブザーが出てくるミステリに、『ケープ・コッドの罠』があります。

「わたしは、ジュリーに通じているブザーを押した。」

「わたし」とは、弁護士の、ブレディ・コイン。「ジュリー」は、コインの秘書という設定になっています。
また、『ケープ・コッドの罠』には、こんな描写も出てきます。

「グリーンと黒のチェックのフランネル・シャツを着ており………」

これは「ティモシー・マクブライド」の服装として。
フランネル・シャツ。ひとつの想像として、コットン・フランネルのシャツかと思われます。極上のコットン・フランネルは、毳になりにくいものです。まるでそれがヴァイエラでもあるかのように。
どなたか上質のフランネル・シャツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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