黒パンは、色の黒いパンの総称ですよね。白いパンもあれば、黒いパンもあります。もちろん、これまた好みの問題でしょう。白パンがお好きなお方もあれば、黒パンがお好みのお方もいらっしゃるでしょう。
私の場合ですが。もし黒パンと白パンとが同じように並んでいたなら、黒パンに先に手が出てしまうほうです。
なぜ、黒パンが好きなのか。味わいが深いように感じられるので。かててくわえて、健康にも良さそうに感じられるので。
黒パンと白パン。この問題は、玄米と白米との関係にも、似ているのではないでしょうか。もしも玄米と白米とが自由に選べるものなら、私は玄米を手に取ります。
小麦も米ももともとは白くはありません。小麦色というではありませんか。
その小麦色であるはずの小麦を、人の好みに合わせて、白きが上にも白くなるようにした結果、白パンが生まれるわけですね。
その結果、もともとあった栄養分まで取り去ってしまうのは、残念では、ありませんか。
しかも黒パンよりも白パンが好まれるのは、古代ロオマの時代にもあったそうです。白パンの歴史にも古いものがあるのでしょう。
黒パンがいわば主人公になる小説に、『黒パン浮虜記』があります。胡桃沢耕史が、1983年に発表した物語。但し時代背景は、太平洋戦争終了直後におかれているのですが。
「食事は黒パンが主だったので、一緒に入った人々は、まだ名も知らぬこの国を、黒麺包帝国と呼んだ。」
胡桃沢耕史の『黒パン浮虜記』には、そのように書いてあります。
胡桃沢耕史たちは、ある国の捕虜になったので。そのうちに黒パンが貴重な物々交換の商品にもなったりする話なのです。
黒パンが出てくるミステリに、『ヨーク公階段の謎』があります。1929年に、イギリスの作家、ヘンリー・ウエイドが発表した物語。
「彼女が厚く切った黒パンにバターと蜂蜜をぬって口にするかしないかのうちに………」
ここでの「彼女」は、イネズ・フラットンという設定になっているのですが。
また、ヘンリ・ウエイド著『ヨーク公階段の謎』には、こんな描写も出てきます。
「フロックコートを着て、上等な真珠のピンを留めたダブルのクラバットを締めていた。」
これは、「ホレス・スパヴェージ卿」の着こなし。
たぶん、クラヴァットを結んでいるのでしょう。クラヴァットはフロック・コートだけでなく、モーニング・コートにも合わせる子と、申すまでもありません。今のフォア・イン・ハンド式より古典的なネクタイなのです。
どなたかクラヴァットが似合いそうなスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。