踊り場とオペラ・ケエプ

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踊り場は、階段のひと休みする場所のことですよね。そこで踊る元気は、残っていません。
踊り場。英語では、「レヴェリング」leveling になるんだそうです。「平たくしたところ」の意味なんでしょうか。
階段は、坂を登ったり降りたりするのに、便利。でも、曲角では屈折します。屈折するので、一度平たくしておいて、また段差をつけるわけですね。
でも、どうして「踊り場」なのか。階段をとんとん登って来て、ここでは鑪を踏む。この鑪を踏む様子を、「踊り」になぞらえたのではないでしょうか。

踊り場が出てくる小説に、『蟹工船』があります。昭和四年に、小林多喜二が発表した物語。

「艦長をのせてしまって、一人がタラップのおどり場からロープを外しながら、ちらっと艦長を見て、低い声で云った。」

これは酔っている艦長を、水兵がタラップを登らせている場面。
また、『蟹工船』にはこんな描写も出てきます。

「糊のついた真白い、上衣の丈の短い服を着た給仕が、「とも」のサロンに、ビール、果物、洋酒のコップを持って、忙しく往き来していた。」

給仕はメス・ジャケットを着ていたのでしょうか。

踊り場が出てくる小説に、『ハムレット復讐せよ』があります。1937年に、英国の作家、マイクル・イネスが発表した物語。

「踊り場窓を開け、戸外を眺める。そこには紛れもなく、見慣れた世界があった。」

また、『ハムレット復讐せよ』には、こんな場面も出てきます。

「………身体をすっぽりつつむオペラ鑑賞用マントと、黒のソフト帽………」

これは「ノウエル・ギルビイ」という貴族の着こなしとして。
おそらく、「オペラ・ケエプ」のことでしょう。オペラ・ケエプはマントのひとつですから、脱ぎ着が簡単。クロークなどでもたもたしないための工夫でもあります。
どなたか現代版のオペラ・ケエプを仕立てて頂けませんでしょうか。

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