シャレードは、一種のジェスチャー・ゲームですよね。二人ひと組になって。言葉を仕種に変えて、相手に伝える。伝えられた方が、うまく仕種から言葉を思いついた方が、勝ち。
英語の「シャレード」charade は、177 6年頃から用いられているんだとか。
映画にも『シャレード』があります。1963年のミステリ風味のロマンチック・コメディ。オオドゥリイ・ヘップバーンとケイリイ・グラントの初顔合わせの映画。オオドゥリイの衣裳担当が、ジヴァンシー。それで背景がパリというのですから、文句なし。
『シャレード』の中で、ヘップバーンとグラントが二人、セエヌの岸を歩く場面が出てきます。
その時、ヘップバーンが食べているアイスクリイムをグラントの肩にこぼす場面がありますよね。あれは二人だけに分かる、アドリヴ。
『シャレード』の撮影に入る前。ご挨拶というので、レストランで食事をした。その時のヘップバーンはとても緊張していたらしく。ケイリイ・グラントのスーツに赤ワインをこぼして。
その時のケイリイ・グラントは、ベージュのスーツを着ていたそうですが。オオドゥリイは恐縮して、平謝りに。その時のケイリイ・グラントの一言。
「なあに、こんなのは、すぐに消えますよ。」
しかも、次の日。ケイリイ・グラントからヘップバーンに、キャヴィアの缶詰が届けられて。さらにカードが添えてあって。
「スーツのことはご心配なく。解決しました。」
シャレードが出てくる小説に、『感情教育』があります。1869年に、フランスの作家、フロベエルが完成させた長篇。
「日曜日には謎遊びをする。」
「謎遊び」。ここには、「シャラード」のルビがふってあります。
フロベエルの『感情教育』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。
「………短外套を着たポーランド女が紗の下裳を………」
この「下裳」と訳されている部分には、「ジュポン」のルビが添えてあります。
「ジュポン」 jupon 。故き佳き時代の、女の人の下穿きだったのですね。これこそズボンの語源でありましょう。