エポックとエパングル・ド・クラヴァット

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エポックは、新時代のことですよね。「新世紀」とも訳されるんだそうですが。
epoch と書いて、「エポック」。これは1614年頃からの英語なんだとか。ラテン語の「エポカ」epoch a
と関係しているんだそうですね。それは「時」の意味であったという。
「エポック・メイキング」なんて言うではありませんか。また、「ベル・エポック」とも。十九世紀末の巴里の「麗しき時」のことであります。それはポオル・ポアレが登場した時代であり、ロオトレックが活躍した時代でもあるでしょう。

「………一種特別な、エポツクを画したやうな物に思ふのである。」

森 鷗外が、大正二年に発表した短篇『ながし』に、そのような一節が出てきます。。
これは物語の主人公、二十一歳の「藤次郎」の想いとして。風呂で、女中に背中をながしてもらったのを咎められて。
森 鷗外はこの『ながし』の中で、「湯帷子」と書いて、「ゆかた」のルビを添えています。たぶん今の浴衣は、「湯帷子」から来ているのでしょう。

「新しいépo queに入つたのを、此上もなく嬉しく思つて………」

同じく大正二年に発表された森 鷗外の『雁』にもそのような文章が出てきます。
森 鷗外は、ここでは、フランス語の「エポック」として使っているのですが。

エポックが出てくる伝記に、『ルパンの世界』があります。2003年に、フランスの作家、ジャック・ドゥルワールの発表したモオリス・ルブランの伝記。

「それはふつう、〈ベル・エポック〉と呼ばれる世界だ。」
著者のジャック・ドゥルワールは、そのように書いています。つまり、ルパンの時代背景は、ベル・エポックと重なっているのだ、と。
また、『ルパンの世界』には、こんな文章も出てきます。

「当時はネクタイピン、それも高価な宝石のネクタイピンで留められていた。」

ことに、ルパンはパールのネクタイ・ピンがお好きだったとも。
1905年に「ルパン」の出版社は、「アルセーヌ・ルパン賞」を設定。その賞品は、ネクタイ・ピンだったという。十八金のネクタイ・ピン。
1905頃には、紳士必携のアクセサリイだったのでしょう。
ネクタイ・ピン。フランス語なら、「エパングル・ド・クラヴァット」でしょうか。
1905年。ルパンが愛用した真珠のエパングル・ド・クラヴァットをどなたか作って頂けませんでしょうか。

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