ラジオは、耳で聴く愉しみですよね。目で観る愉しみがTVでしょうか。
ラジオは「ながら」に持ってこいです。手を動かしながら、ラジオに耳を傾けることも出来ますしね。ひと時代前のアトリエにはたいてい一台のラジオがあったものです。
裁断するにも、縫製するにも、なにかしらラジオの音が流れていました。ですから洋服とラジオもまったく無関係ではないのです。
「連続放送劇『向う三軒両隣』の一回目は、「小さい喫茶店」のメロディーで始まる。お話は、まず小林家が経営する喫茶店白百合からということである。」
阿久 悠著『ラヂオ』に、そのような一節が出てきます。うーん、ありましたね。ラジオ・ドラマ『向う三軒両隣』が。人気番組でしたね。
阿久 悠は、1937年に、淡路島に生まれています。戦後間もなくから、ラジオに親しんで来たものと思われます。
小説『ラヂオ』は、少年時代を語ったものですが。そこには「ラヂオ」を抜くことはできなかったのでしょう。
日本のラジオ局にNHKがあれば、英国には、BBCがあります。第二次大戦中のBBCで働いたことのある作家に、ジョージ・オーウエルがいます。にわかには信じられないのですが、ほんとうのことです。
1941年8月18日。オーウエルはBBCと契約しています。年俸は、680ポンドだったと伝えられています。
ジョージ・オーウエルの配属は、「インド課」。インド向け放送。当時、インドには多くの英国人が住んでいましたから。
オーウエルはインド向け放送の原稿を書き、また実際にマイクの前にも立ったようですね。
ラジオが出てくるミステリに、『罪と過ちの夜』があります。1996年に、アリソン・テイラーが発表した物語。
「地元のラジオ局のブリンと話してたんですが」
これは主任警部のマイケル・マッケナーの科白として。もちろん、情報を得るために。
また、『罪と過ちの夜』には、こんな場面も出てきます。
「………格子柄の乗馬ジャケットを着て、黒いベルベットの乗馬帽のまびさしが顔に影を落としている。」
これは写真に写っている男の様子として。
「乗馬帽」。ライディング・キャプでしょうか。表面はヴェルヴェットですが、中にコルクが張ってあって一種のヘルメットになっています。余談ですが、「まえびさし」は、ヴァイザーと言います。
どなたか街歩きにも使えるライディング・キャプを作って頂けませんでしょうか。