ボストンバッグとポンジー

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ボストンバッグは、クラブ・バッグのことですよね。その昔、アメリカの大学生が、スポーツ・バッグとして使ったので、その名前があります。
1920年代からすでにあったようですが、口開きにファスナーが用いられるようになって、一般にも広く流行するようになったとのことです。「ボストンバッグ」は和製英語。

「春になると、そんな日、伯母はボストン一つ携げ、飄然と近くの温泉に出かけて行つた。」

昭和二十三年に、藤原審爾が発表した小説『紅顔』にそのような一節が出てきます。
『紅顔』の中ではただ「ボストン」とあるのですが、すぐにボストンバッグのことだと分かりますね。つまり、それくらいに流行だったのでしょう。

作家で、ボストンバッグといえば、永井荷風を想う人も多いでしょう。荷風はいつも背広に小型のボストンバッグで散歩に出ていたようです。それこそボストンバッグ一つで、銀座にも行けば、浅草にも行ったらしい。

ボストンバッグが出てくるミステリに、『ナイルに死す』があります。1937年に、アガサ・クリスティーが発表した物語。

「大きな革のスーツケースが二つ、ボストン・バッグが一つ。洋服箪笥には、衣服類も残っていた。」

これは居なくなった「サイモン・ドイル」の船室の様子として。
また、ポアロの着ている服装についても。

「念入りにプレスした白の絹地の服。パナマ帽。」

「白の絹地の服」。私はここから勝手に、ポンジーを想像してしまいました。
「ポンジー」pongeeは、もともと野蚕糸で織った生地のこと。緻密な横畝の美しい絹地です。
どなたかポンジーのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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