シャンパンとシャルマン

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

シャンパンは、祝酒という印象がありますよね。なにか佳いことがあった時に、乾杯するのには最適でしょう。
シャンパンはまず第一に、美しい。黄金色で、透明で、クリスタルを液体にしたかのように。
白ワインをごくふつうに醸しますと、白濁します。白濁させないところにシャンパンの美しさの秘密があるのですね。
このシャンパンならではの工程を、「デコルジュマン」と言います。白濁の原因である澱を壜の口の近くに集めて、それを凍らせてから、取り除くのです。このデコルジュマンによって、透明のシャンパンが誕生するわけですね。
シャンパーニュ地方で造られる発泡酒なので、「シャンパン」。たしかにその通りなのですが、実際にシャンパーニュに行ってみますと、多くランスとエペルネの町に集中しています。つまりたいていのシャンパンはランス製かエペルネ製なのです。
シャンパン醸造家は、まず例外なく豪奢な迎賓館を備えています。ただ、その迎賓館を見ただけで、シャンパン・メイカーがいかに裕かであるかが窺えるでしょう。
ランスには、有名な「フジタ礼拝堂」があります。このフジタ礼拝堂は晩年のフジタが設計から壁画までのすべてを手がけたものです。
また、フジタ礼拝堂はランスのシャンパン醸造家の後援によって完成したものであります。
1959年、藤田嗣治は、洗礼を受けています。それ以降、レオナール・フジタとなったもの。レオナールの洗礼名は藤田が尊敬する、レオナルド・ダ・ヴィンチに因んだものです。

シャンパンが出てくる小説に、『悲しみよこんにちは』があります。フランスの作家、フランソワーズ・サガンが、1954年に発表した物語。ただし、サガンが『悲しみよこんにちは』を書いたのは、1953年のこと。つまり、サガンは十七歳で『悲しみよこんにちは』を書き、十八歳の時に出版されているわけですね。
物語の主人公は、「セシル」。1957年に『悲しみよこんにちは』が映画化された時に流行ったのが、「セシル・カット」。主役を演じたジーン・セバーグの男の子みたいに短い髪型のことでありました。

「なぜなら、父がワルツを踊りながらシャンペンの壜を小脇にかかえて戻ってきたからだ。」

主人公のセシルは、十七歳。お父さんは、四十歳の裕かな独身と設定されています。
また、『悲しみよこんにちは』を読んでおりますと、こんな場面が出てきます。

「なんとシャルマンな光景だろう」と父は言った。

これは南仏の別荘で、娘がバタつきパンを食べるかどうかで、話している場面を観て。
「シャルマン」chrmant は、「魅力的な」の意味。英語の「チャーム」とも関係ある言葉なのでしょう。
どなたかシャルマンだとたしかに思えるスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone