ハンドとハンド・ソウン

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ハンドは、手のことですよね。hand と書いて「ハンド」と訓みます。
手は「手足」という時の足ではないほうであります。手があるからこそ、蕎麦も頂けるというわけですね。まことに便利な道具というべきでしょう。
便利だからこそ、手にもいろんな意味があります。たとえば「火の手があがる」とか。炎の様子を手に喩えてのことでしょうか。
「手をかける」。花などを大切に育てる時にも、そんな言い方をしますよね。あるいは「手があがる」。なにかの技について、上達することにも手が用いられるわけです。
この日本語の「手」の多彩さと同じように、英語の「ハンド」にも多くの意味があるらしい。まず、おしゃれ語との関連から申しますと、「手ざわり」の意味もあります。たとえば布地の感触を表現するにも、「ハンド」。タッチだとかフィーリングにも似た言葉です。
時計の針のことも、「ハンド」。船の乗組員のことも、「ハンド」。たぶん、人手の意味なのでしょう。
「筆跡」のことも、「ハンド」。これは日本語とも共通しています。ひとつの例ではありますが、書家の筆づかいのことを、「手」というんだそうですから。
乗馬のほうで、「ハンド」というと、「手綱さばき」を指すという。馬の体長もまた、「ハンド」。たとえば「フィフティーン・ハンズ」などと表します。一ハンドは四インチ。これは人間の手の幅から来ているんだとか。
馬を手で計るやり方は、ヘンリー八世の時代にはじまっているそうですから、古いものがあります。

馬が必ず登場するミステリに、ディック・フランシスの物語があります。
ディック・フランシスはもと、障害レースの騎手だった人物。ジョッキー引退後、ミステリ作家になったお方ですから、当然でもあるのでしょうが。
ディック・フランシスが、1965年に、発表したミステリに『大穴』があります。この中に。

「六足の靴は全部手縫いで新品同様であった。靴の中を一つ一つ見たが靴型が入っているだけだった」

これは主人公の「シッド・ハレー」が、ハワード・クレイのクローゼットを調べている場面として。シッド・ハレーは私立探偵という設定になっています。
「手縫い」。ハンド・ソウンhand sewn ですね。憧れの的。
ハンド・ソウンであろうとなかろうと、脱いだ靴には必ずシュー・トゥリーを入れておきましょう。
どなたかハンド・ソウンのブローグを作って頂けませんでしょうか。

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