フェルトとフッド

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フェルトは、不織布のことですよね。一見、厚い布地のようにも思えるのですが、糸を織ってはいないので、「不織布」とも呼ばれることがあります。
felt
と書いて「フェルト」と訓みます。フェルトは短い繊維同士が、複雑微妙に絡みあった繊維なのです。つまり縦も横もない繊維。途中を鋏で切っても決して解れることがありません。これもフェルトの特徴のひとつなのです。
また、成形が自由。フェルトに熱と力とを加えることによって、どんな形にも仕上げることができます。
もうひとつのフェルトの特徴は、摩擦に強いこと。ビリヤード台や、硬式テニスのボールなどにも使われるのは、そのためなのですね。
ヨオロッパのフェルトが日本に伝えられたのは、室町時代のことだと考えられています。当時の武将たちの陣羽織は、多く舶来のフェルトで仕立てられたという。また、緋毛氈の材料もそもそもは舶来フェルトだったのです。
フェルトがなくては作れないものに、帽子があります。男女の別なくいわゆるハットの材料は多くはフェルトなのです。ことにソフトハットはまず例外なくフェルトだと言って良いでしょう。
ソフトハットが意外なほど雨に強いのも、そのためなのですね。帽子用のフェルトには大きく分けて、二種があります。ウール・フェルトと、ファー・フェルトとの。ウール・フェルトの原料は雑毛です。これに対してファー・フェルトは、兎の毛皮が原材料となります。

フェルトが出てくるミステリに『大穴』があります。英国の作家、ディック・フランシスが、1965年に発表した物語。

「大きなテイブルの上に厚いフェルトを広げながらチャールズが言った。」

これは主人公の義理の父、チャールズ・ロランドの様子として。
また、『大穴』にはこんな描写も出てきます。

「いずれにしても、ダッフル・コートを着てフッドをかぶっているので見えない。」

これは競馬場のコースを歩いている男の様子として。
日本語訳者、菊池 光は、「フッド」と訳しています。
food は正しくは「フッド」です。フードは和製英語なのでしょうか。
どなたかフッドの四角いダッフル・コートを作って頂けませんでしょうか。

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