鰹節とガロン

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

鰹節は、出汁の素ですよね。湯の用意をして、呆れるほど大量の鰹節を茹でる。これが出汁の素になるのであります。
蕎麦が美味いなどと申しますが、その味わいの何分の一かは、鰹節に支えられているのですね。
おかか。おかかもまた、鰹節。昔の女房言葉であります。おかか、よくおにぎりにも使われるではありませんか。日本人ならではの食材でしょう。
鰹節をケチっているかいないかで、味の完成度は大きく異なってくるのです。

「あはれ薩摩といへば鰹節さへ幅のきく世に、さりとは地に落ちたり我が金襴陶器。」

樋口一葉が、明治二十五年に発表した『うもれ木』に、そんな一節が出てきます。明治の頃には鹿児島の鰹節が有名だったのでしょう。
ところで、「かつおぶし」なのか、「かつぶし」なのか。もちろん、「かつおぶし」。でも、かつぶしは勝つ武士とも訓めますから、縁起が良いのでしょう。

福澤諭吉の自伝『福翁自伝』にも、鰹節の話が出てきます

「小の方は鰹節小刀を鞘に蔵めてお飾りにさしているのだ。」

これは幕末に、福澤諭吉が刀を差すのを止めた時の話として。その時代に武士が刀を持たないこともならず、ほんの形ばかりの刀に替えたんだそうですね。
「鰹節小刀」。今はカンナに。似た鰹節削りがあります。が、江戸時代には、鰹節を削るための専用の小刀があったらしいのですね。

鰹節が出てくる小説に『従妹ベット』があります。フランスの作家、バルザックが、1847年に発表した長篇。

『猫にカツブシ』。章題に、そのように出ています。日本語訳は、山田登世子。
また、『従妹ベット』には、こんな一節も出てきます。

金銀モール業とよばれるこの業種は、憲章やサーベルの下げ緒や飾り紐など、フランス軍の派手な軍服や文官の制服の上でピカピカ光っているあの膨大な量の光ものを製造する仕事だった。

モール。フランスなら、「ガロン」galon でしょうか。
どなたかガロンで縁取りのある上着を仕立てて頂けませんでしょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone