書斎とショセット

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書斎は、勉強部屋のことですよね。その書斎に入ると、猛烈に勉強がしたくなる部屋のこと。まあ、理想ではありますが。
人は書斎で本を読むでしょう。瞑想にふけるでしょう。作家は書斎で原稿を書くでしょう。時に、作家の書斎を写真で見せてもらうことがあります。まず、天井が高い。その天井いっぱいに本が詰まっていて、圧倒されます。がよく聞いてみると、それとは別に広い書庫があるとのこと。参ってしまいます。いっぱしの作家になるには、いったいどれほどの蔵書が必要なのでしょうか。

「………一歩其中に入ると、静かな光線や、落付いた家具の感じが、すっかり心を鎮め、大きく広い机の上の原稿用紙が、自らの心をひきつけ招くようにありたい。」

作家の宮本百合子は、随筆『書斎を中心にした家』の中に、そのように書いています。羨ましい環境です。書斎の理想というべきでしょう。
書斎は北向きに限る。宮本百合子はそうも書いています。直射日光では眩しすぎるので。
一方、北向きの書斎がお嫌いだったのが、志賀直哉。

「奈良でも仕舞ひには二階の南向きの六畳を書斎にし、北向きの書斎は夏だけしか使はなかつた。」

志賀直哉の随筆『私の書斎』に、そのように出ています。明るくて、暖かい書斎がお好きだったのでしょう。

書斎が出てくる小説に、『モンテ=クリスト伯』があります。1845年に、アレクサンドル・デュマが発表した物語。

「………われわれがヴィルフォールの後について読者諸兄をご案内したあの小さな書斎、胡桃の木でできたテーブルの上に………」

また、『モンテ=クリスト伯』には、こんな描写も出てきます。

「両脚は細いがたくましく、飛白模様のすばらしい木綿の靴下をはいた下で、むちむちしていた。」

これは「ダンテスの父」の履いている靴下について。さらに続けて、こうも書いているのです。

「その靴下は、一目見ただけでイギリスからの密輸入品であることが察しられるものであった。」
たぶん、コットンの細番手の靴下だったものと思われます。
フランスなら、「ショセット」chausettes でしょうか。
どなたか美しいショセットを作って頂けませんでしょうか。

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