マフラーは、洋酒などを混ぜるための細い棒のことですよね。
ウイスキイの水割りにもマドラーが必要でしょう。 またカクテルを作る時にもマドラーを使うことがあります。
「マティーニをステアで」。そんな科白もありますからね。
あのステアに使うのも、もちろん、ステア。カクテルは
cocktail と書いて、「カクテル」と訓みます。
この「カクテル」の言葉は、 1806年にニュウヨークで用いられたとのことです。では、 その根拠はどこにあるのか。
その頃、ニュウヨークのハドソンで、『バランス』 という新聞が発行されていて。 その1806年5月13日付けの記事に、「カクテル」 の言葉が使われている。それで、 1806年説が根強く信じられているという。 とにかく2006年のニュウヨークでは、大々的に、『 カクテル生誕二百年祭」が行われたそうですから。
では、なぜ「カクテル」の名前になったのか。 実はよく解っていません。 あまりにも多くの語源説がありますので。
数多くの語源説のひとつに、こんなのもあるのですが。
「カクテル」は、「樽口」の意味だったと。 昔の酒はたいてい樽に入っていた。 その樽の口の栓をゆるめて酒をついだ。その「樽尻」のことを、「 カクテル」と呼んでいたので。 少なくともカクテルがアメリカ英語としてはじまっていることは、 間違いないでしょう。
この「カクテル」を比較的はやく使った英国人に、 作家のディケンズがいます。あの文豪、チャールズ・ ディケンズのことです。
ディケンズが1844年に発表した小説、『マーティン・ チャルズウイット』に、カクテルが出てきます。
「彼は、ラム・トゥデイ、ミント・ジュレップ、ジン・スリング、 それにカクテル、なんでもござれの男だった。」
これはペンシルヴァニア出身のポーキンズ大佐について。 物語の背景は当時のニュウヨークになっています。 ディケンズは何度もアメリカに渡っていますからね。たぶん、 ディケンズもカクテルを口にしたものと思われるのですが。
えーと、マドラーの話でしたね。マドラーが出てくるミステリに、 『死者の夢』があります。1977年に、アメリカの作家、エド・ マクベインが発表した物語。
「灰皿とか塩、胡椒いれ、 コースターやカクテル用の攪拌スティックなど、 土産品になるようなものを売っているのです。」
これはイザベル・ハリスという女性の言葉として。
「カクテル用の攪拌スティック」。 たぶんマドラーのことでしょう。
また、『死者の夢』には、こんな描写も出てきます。
「ふたりともほとんど同じような身なり、 黒い外套にグレイのソフト、青いウールのマフラーだ。」
これはニュウヨーク、87分署の刑事の着こなしとして。
たぶん刑事ですから、ダーク・ブルウのマフラーなのでしょう。
どなたかピーコック・ ブルウのカシミアのマフラーを作って頂けませんでしょうか