ポプラは、木の名前にもありますよね。
poplar と書いて「ポプラ」と訓みます。また「ヤマフラシ」とも。さらには古くからの習慣で、「白楊」の字を宛てることもあるんだとか。
背の高い木で、時には40メートルに届くことも。ポプラは寒さに強い木でもあって、北海道の牧場などでもよく見かけることがあります。あれは「セイヨウハコヤナギ」の品種なんだそうですね。日本ではこれを一般にポプの名前で呼んでいるんだそうですが。
『ポプラディア』という百科事典には、そのように説明されています。「ポプラ社」が出している百科事典なのですが。
ポプラはギリシア神話にも出てきます。ヘラクレスがカロスとの戦いに勝った時、ポプラの枝で冠を作った。そんな伝説もあるとのことです。
ポプラもまた長い歴史を持っているのでしょう。
しみらに列立つ わかき白楊 その葉のくらみに こころふるふ
明治四十一年の『邪宗門』に、北原白秋はそのように詠んでおります。
白秋は「白楊」と書いて「ポプラ」のルビを添えているのですが。
「へえゝ、あれがポプラーですか、なある程」
夏目漱石が明治三十四年に発表した『倫敦消息』に、そのような一節が出てきます。
これは漱石自身の言葉として。「あれは何の木ですか?」と訊いたので、教えてもらったわけですね。
『倫敦消息』には、何度もポプラの話が出てきます。もっとも漱石は「ポプラー」と書いてあるのですが。
「いつの間にかポプラの上に、夕焼雲がゆっくり流れていた。 「オレンジ色の雲ね」 初美の声が不意に優しくなった。」
三浦綾子が、1989年に発表した短篇『あのポプラの上が空』に、そのような一節が出てきます。
「あのポプラの上が空」と思えば人の心も優しくなるのでしょう。
ポプラが出てくる小説に、『西部戦線異状なし』があります。1927年1月31日に、レマルクが発表した物語。第一次大戦中を描いた記録文学。
「ポプラの切株のうしろには、臼砲が埋め込まれた。」
『西部戦線異状なし』は発表と同時にベストセラーになっています。1930年には、映画化。その後も何度か映画化された名作なのです。
『西部戦線異状なし』を呼んでおりますと、こんな描写も出てきます。
「白い靴下に、白い靴だ。それも踵の高い可愛らしい、ボタン止めの半靴である。」
これはたまたま通りかかった芝居小屋の看板を眺めている場面として。
おそらくは少女が白いボタンド・ブーツを履いているのでしょう。
十九世紀までは、男も女もボタンド・ブーツが珍しくなかったものです。
どなたか白いボタンド・ブーツを作って頂けませんでしょうか。