エデンとモアレ

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エデンと題につく小説に、『エデンの東』がありませんよね。ジョン・スタインベックが、1952年に書いた物語。この物語を映画にしたのが、1955年の『エデンの東』。映画『エデンの東』で、キャルを演じたのが、ジェイムズ・ディーン。
ジェイムズ・ディーンにとっての主要な映画はまず、『エデンの東』で。これで突然に注目を集めて、『理由なき反抗』、そして『ジャイアンツ』と続くわけです。
小説『エデンの東』は最初、カリフォルニア州、サリーナスの美しい田園風景からはじまります。『エデンの東』の舞台は、サリーナス。サリーナスは、ジョン・スタインベックが生まれ育った所でもあります。

「もし純金が液体で、表面にクリームの膜を張るものなら、その純金のクリームこそポピーの花の色に近くかも知れない。」

サリーナスは時期になると、野の一面にポピーが咲いたんだそうですね。そのポピーの色を、スタインベックはこんな風に形容しているのです。
ところで、スタインベックにとっての『エデンの東」は、「箱」なんだとか。『エデンの東』の冒頭のエピグラフには、そのように書いています。

「さて、これがその箱だ。私の持っているほとんどのものがここに入っている。」

スタインベックには多くの傑作があります。が、スタインベック自身がもっとも好きだったのは、『エデンの東』だと伝えられています。
スタインベックの短篇に、『真珠』があります。この中に。

「彼はパリ仕入れの赤い波紋のある、絹の部屋着を着ていたが…………」。

「彼」は、ドクターという設定。「赤い波紋」とは何か。原文を開いてみると。

「 red watered silk………」

と、なっています。これはつまり「モアレ」のことなのです。波目模様とも、木目模様とも。部屋着だけでなく、ヴェストやネクタイ地にも使われものです。
男物の素材としては、「エデンの園」とも形容したい柄であるのかも知れませんね。

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