靴墨とクリーニング

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靴墨は、靴を手入れするための薬品ですよね。薬品とはいささか言いすぎではありましょうが。
靴墨にも大きく分けて二種類があるんだそうですね。シュー・クリームと、シュー・ポリッシュとの。シュー・クリームはたいてい平たい壜に入っていて、柔らかい。一方のシュー・ポリッシュは、もっと平たい缶に入っていて、固い。固いのは多く蠟分が含まれているため。ごく簡単に言って、この蠟が光沢の源なんですね。
これに対してシュー・クリームは主に革に栄養を与えるためのものです。結局、このクリームとポリッシュとを上手に使い分けることが、靴を長持ちさせる秘訣でしょうか。
若い頃、倫敦の靴墨工場で働いたことのあるのが、ディケンズ。英國の誇る文豪、チャールズ・ディケンズ。若い頃といっても、ほんとうに未だ少年の時だったのですが。「文豪になるには、靴墨工場に勤めよ」。そんな風に言いたくもなってくるのですが。
チャールズ・ディケンズが書いたミステリ風味の短篇に、『手袋』があります。ある事件が起きて、その犯人の手がかりが現場に残された、一対の手袋という物語なんですね。この中に。

「ロンドンに正規の手袋クリーニング屋は八人か九人以上はいないのさ」

そんな科白が出てきます。もちろん倫敦の「手袋クリーニング屋」の主人の言葉。ということは、1850年代の倫敦には、「手袋クリーニング屋」が九軒ほどあった、と考えて良いでしょうね。
まあ、それはともかく。白いシャツに靴墨をつけた時には、やはりクリーニング屋にお願いするのがいちばんでしょう。

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