クラブを漢字で書くと、倶楽部になりますよね。もちろん、宛字。でも、いろんな宛字のある中で、実にうまい具合に収まった例でしょうね。倶に楽しむ部屋、なんですから。
クラブですぐに想い浮かべるものに、「クラブ・サンドウイッチ」があります。三段重ねのサンドウイッチで、充分、昼食代りにもなってくれる「食事」。ということは、アメリカ生まれ。「アメリカン・クラブハウス・サンドウイッチ」とも。
イギリスでのサンドウイッチがどちらかといえば、「おつまみ」。一方、アメリカでは多く、「食事」にならないでもない、という違いがあります。
クラブ・サンドウイッチの特徴は、軽くトーストしたパンの間に、チキンなどを挟むこと。レタス、トマト、ベーコンなども。
クラブ・サンドウイッチの誕生は、十九世紀末。その時代にはむしろターキーを使ったらしい。やがて時代とともに、チキンが用いられるようになったのでしょう。
さて、クラブ・サンドウイッチに、何を添えるのか。ビール。クラブ・サンドウイッチにはビールが合うという印象があるらしい。まあ、具材があれこれ多いからなんでしょう。
「クラブ・サンドウイッチ」の言葉としては、1903年頃から使われているんだそうですが。
クラブ・サンドウイッチが出てくるミステリに、『ポットショットの銃弾』があります。ロバート・B・パーカーが、2001年に発表した物語。
「クラブ・サンドウイッチで生ビールを飲むべく、あまり人のいないロビイのバアへ下りて行った。」
もちろん、これはボストンの私立探偵、スペンサーの様子。翻訳は、菊池 光 で、「ロビイ」と、「バア」と書いています。
また、『ポットショットの銃撃』には、こんな描写も。
「店員は赤い格子柄のシャツに、ストリング・タイを銀のクリップで留めている。」
ストリング・タイは正しくは、「ボーロ・タイ」 b o l o t i e 。スペインの投げ縄、「ボーラ」b o I a に似ているので、その名前があります。
1940年頃に、アリゾナのカウ・ボーイ、ヴィック・サーサスタッフが考案したもの。1971年以降、アリゾナ州の「正式ネクタイ」に採用されてもいます。
ボーロ・タイを留めるための銀の金具を、「クラスプ」 c l asp と言います。
ウエスタン・シャツに、ボーロ・タイで。美味しいクラブ・サンドウイッチを食べに行きたいものですね。