すももとスェーター

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

すももは、美味しいものですね。なによりも食べやすいではありませんか。
すももはまた、李の字を充てることもあります。

わが園の 李の花か 庭に散るはだれの 未だ遣りたるかも

大友家持の句として『萬葉集』に収められています。少なくとも萬葉の時代から、すももはあったのでしょうね。

すももも桃も桃のうち

よく知られた早口言葉であります。これが早く、何度も繰り返して言えるかどうか。

隣の客はよく柿食う客だ

竹垣に竹立てかけた

まあ、このあたりまではなんとかなるでしょうが。

魔術師 魔術で 魔術中

これなども簡単そうで、なかなかすらすらとは、いかないものです。同じように。

生麦 生米 生卵

龍立った たったいま立った

お綾 親にお謝り

実に、いろんな早口言葉があるものですね。
李の話は、ルナアルの『にんじん』にも出てきます。ジュール・ルナアルの中でも、とくに知られている物語でしょう。
このルナアルの『にんじん』を日本語に訳したのが、岸田國士。國士と書いて、「くにお」と訓みます。女優の岸田今日子のお父さんでもありました。
岸田國士が昭和十二年に発表したのが、『落葉日記』。この中に。

「彼女は、薄萌黄の毛絲のスェータアに純白のスカート、それに同じ白のベレエを阿彌陀にかぶつて、いそいそと寄宿の門を出た。」

これは、「梨枝子」の様子。
小説にあらわれる比較的はやい、「スェータア」の例でしょう。
スェーター sw e at er はアメリカで生まれた言葉。直訳すれば、「汗をかかせるもの」。最初は純然たる運動着だったのです。
イギリスでは同じものを「ジャンパー」と呼びます。
ジャンパーとスェーターを使って、なにか早口言葉が作れませんかねえ。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone