ドクターは、ドクトルのことですよね。doctor と書いて、「ドクター」と訓みます。
英語のドクターはラテン語の「ドクトール」と関係があるようです。ラテン語の「ドクトール」には、「指導者」の意味があったらしい。
ドクターの意味も数多くあるらしい。たとえば、酒にも、「ドクター」が。これはワインにブランデーを少し加えた飲み物を指すんだとか。
また、船員言葉にも、「ドクター」が。この場合には、料理長のこと。
どうも「ドクター」には、「拵える」の含みがあるらしい。
1960年に、北 杜夫が『どくとるマンボウ航海記』を出して、好評だったことがあります。北 杜夫は作家のかたわら、医学博士でもあったので、「どくとる」としたのでしょう。
ドクターが出てくるミステリに、『さむけ』があります。1963年に、ロス・マクドナルドが発表した物語。
「ドクター・ブラッドショー、ちょっとお時間さいていただけません? 重大事件ですの」
ここでの、ロイ・ブラッドショーは、大学の部長という設定になっているのですが。
また、『さむけ』には、こんな文章も出てきます。
「………服装は黒っぽいトップコートと、黒っぽい鍔の折れたフェドーラ。」
これは探偵のアーチャーの発言として。
トップコートは、外套のひとつ。オーヴァーコート、アウターコートというように、「トップコート」。単なる上着ではありませんよ、そんな気分のある表現です。
ただの「コート」では上着の意味になってしまいます。
でも、「トップコート」には、「軽快外套」の含みもあるようですね。
逆に「グレイトコート」なら、「大外套」の意味になります。
どなたかトップコートを仕立てて頂けませんでしょうか。