ポートは、ポート・ワインの、ことですよね。「ポルト」の名前で呼ばれることもあります。
酒精強化ワインのひとつ。白ワインに、ブランデーを加えて、発酵を止める。ですから、酒精強化ワイン。
仮に栓を抜いたとしても、保存が効くわけですね。いつでも常温で愉しむことのできる酒であります。
ふつう、食後酒だと考えられているようですね。でも、食後酒と決めてかかる必要もありません。お好きな時に、お好きなように。それがポートの良いところでもあるのですから。
「遅い夕食を取り、しばらくぶりで口にしたポートワインが、彼をそんな気持にした。」
1924年に、富ノ澤麟太郎が発表した小説、『流星』に、そんな一節が出ています。これは物語の主人公、「小汀」の様子として。
これは食後酒なのでしょうか、食中酒なのでしょうか。
ポートが出てくるミステリに、『スパイ学校の新任教官』があります。2014年に、スーザン・イーリア・マクニールが発表した物語。ただし物語の時代背景は、1940年代におかれているのですが。
「チャーチルはポートのグラスを持ったまま大きな身振りをしたので、ワインが少しテーブルにこぼれた。」
もちろん戦争中のことですから、ウインストン・チャーチルのことであります。
「このつなぎは、スタッフのあいだでこっそりと、チャーチルのロンパース”と呼ばれていた………」
『スパイ学校の新任教官』には、そんな話も出てきます。
また、さらに、『スパイ学校の新任教官』には、こんな文章も書かれているのですが。
「………羊の原毛に触ったりしたことは? 角製のボタンは?………」
これは、スパイ学校新任教官の、マーガレット・ホープの言葉として。
ここでの「角製のボタン」は、ホーン・ボタンのことかと思われます。
スーツやオーヴァーコートのボタンに、今は樹脂製が多いようです。が、少なくとも戦前までは、「ホーン・ボタン」が多かったものです。
ことに水牛の角製ボタンが。
どなたかホーン・ボタン付きのダーク・スーツを仕立てて頂けませんでしょうか。”