ドルリー・レーンとトリルビー

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

ドルリー・レーンは、ロンドンの地名ですよね。コヴェント・ガーデン地区にあります。
「ドルリー・レーン」の地名は、エリザベス一世の時代に遡るんだそうです。
その頃、ここに屋敷を建てた、サー・トオマス・ドルリーの名前から、「ドルリー・レーン」の地名が生まれたという。
1634年から、1637年までの間には、「アーガイル侯爵」もここに住んでおります。1646年には、オリヴァー・クロムウエルが。
でも、ドルリー・レーンで忘れてならないのは、劇場。「ドルリー・レーン劇場」。ロンドンでもっとも有名な劇場であります。
最初の「ドルリー・レーン劇場」は、1662年に、建築家、トオマス・キリグルーによって建てられています。
現在の「ドルリー・レーン劇場」は、1812年の完成。ベンジャミン・ワイアットの設計。四層の客席には、2196名を収納できるらしい。
ドルリー・レーン劇場の舞台の間口は、13メートル。奥行は、25メートルという。
今日のドルリー・レーン劇場の杮落としは、1812年10月10日。シェイクスピアの『ハムレット』だったそうですね。

「ドルリー・レーン」が活躍するミステリに、『Zの悲劇』があります。ドルリー・レーンは、探偵の名前。
1933年に、エラリイ・クイーンが発表した物語。
どうして探偵の名前が、ドルリー・レーンなのか。今こそ引退しているものの、以前はれっきとした俳優で、ことにシェイクスピア劇の役者として、ロンドンのドルリー・レーン劇場の舞台をも踏んでいるからなのですね。
エラリイ・クイーンの『Zの悲劇』を読んでおりますと、こんな一節が出てきます。

「………赤毛の頭には、たぶん婦人洋品店ではなく男子洋品店で買ったに違いないと思われるフェルト帽子をかぶっている。」

これは、ファニー・カイザーの帽子として。ファニー・カイザーはいわゆる「男装の麗人」なので。
このファニー・カイザーの帽子こそ、「トリルビー」と呼ぶべきではないでしょうか。
「トリルビー」 trilby は、1894年に、イギリス人のジョルジュ・デュ・モーリアが発表した小説の題名であり、女主人公の名前でも。
『トリルビー』は、1895年に舞台化されて、拍手喝采。
それで、主人公のトリルビーが舞台でかぶった男物のソフト帽子が人気を博すことになったのです。
どなたか十九世紀末のトリルビーを再現して頂けませんでしょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone