サルトとサージ

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サルトは、仕立屋のことですよね。sarto と書いて「サルト」と訓みます。
これが「サルトリア」sarto rìaとなりますと、「仕立屋の作業場」の意味になるんだそうですね。
英語にも「サートリアル」sarto r ial
の言い方があります。これらはラテン語の「サルトール」から出ている言葉なんだとか。フランスのサルトルがイタリアに行くと、なんだか勘違いされてしまいそうですが。

仕立屋が出てくる小説に、『舞姫』があります。明治二十三年に、森 鷗外が発表した名作。これは明治十七年に、実際にあったことを下敷きにした短篇なのですね。

「………ふと油燈の光に透して戸を見れば、エルンスト、ワイゲルトと漆もて書き、下に仕立物師と注したり。」

物語の主人公は偶然、舞姫の「エリス」に出会う。そのエリスのお父さんがエルンスト・ワイゲルトで、仕立屋だったと、述べているわけです。

仕立ての話が出てくる小説に、『群衆の人』があります。1840年に、エドガー・アラン・ポオが発表した短篇。

「心地よく座れるように仕立てられた黒か茶の上着とズボン………」

心地よく座れる上着とズボン。まさに憧れですよね。
また、1842年にポオが書いた小説に、『落し穴と振子』があります。この中に。

「それはわたしの外衣のサージをかすめるだろう………」

ポオが得意とした恐怖の物語なのですが。それはともかく、物語の主人公がサージの上着を着ていることは間違いないでしょう。
綾織りの、しっかりとしたウール地。
どなたかサージのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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