すき焼きとスコッチタイ

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すき焼きは、鍋物のひとつですよね。明治の時代、牛肉に慣れない日本人が、なんとか旨く食べる方法を考えた結果の料理なのでしょう。
漢字なら、鋤焼。江戸期には鋤の刃の裏側で、鶏肉を焼いて食べる方法があったんだそうですね。
明治になって、鋤焼。これは関西での呼び方。関東ではほぼ同じものを、牛鍋。大正時代になってからだんだんと、牛鍋も「鋤焼」と呼ばれるようになったんだそうですね。
でも、実際には今でも関西ふうのすき焼きと、関東ふうのすき焼きとでは異なっています。関東ふうは「煮る」という感じなのに対して、関西ふうはまだ「焼く」という感じが遺っていますから。
すき焼きが出てくる小説に、『大阪の宿』があります。大正十四年に、水上瀧太郎が発表した物語。主人公の「三田」は、東京人。それが転勤で大阪に赴任している設定になっています。

「直ぐ目の前に、かなり大きいすきやき屋があつた。三田は躊躇せずに入つた。階下は土間になつてゐて、洋食部と書いた黒塗の看板がかゝつて居た。」

これは当時「文楽座」の近くにあったすき焼き屋について。ただし東京出身の「三田」は、「牛屋」とも書いているのですが。

すき焼きが出てくる小説に、『留学』があります。1965年に、遠藤周作が発表した物語。

「スキヤキとテンプラのほかはあまり見映えのしないメニューだが、しかし刺身もある。日本酒がある。」

これはパリの日本料理店「牡丹屋」での様子として。主人公の名前は、「田中」になっているのですが。
また、『留学』には、こんな描写も出てきます。

「扉をあけると向坂は首にまきつけた赤いスコッチタイをはずして、左手においてある寝台の上に放り出した。」

ここでの「向坂」は、パリの同じ宿の住人という設定になっています。
「スコッチタイ」。私は勝手にタータン柄のネクタイだと考えたのですが。
どなたかウールのタータンのネクタイを作って頂けませんでしょうか。

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