シャンパンと白ネクタイ

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

シャンパンは、発泡性白ワインのことですよね。もっともロゼもありますが。いわゆる「ピンク・シャンパン」のことであります。
そもそものシャンパンは、1680年頃、ドン・ペリニヨンが考案したと伝えられています。少し難しく申しますと、壜内発酵でしょうか。
シャンパンは疲労回復によろしいとの説があります。たとえば。フランスのシャンパーニュ地方では昔から、リウマチ患者が少ないんだとか。
シャンパンは壜に入ったまま輸送されます。ふつうの壜は、750ミリリットル入り。シャンパン・グラスに八杯分と言う計算になるんですが。
この倍の量が入っているのが、「マグナム」。マグナムの倍入っているのが、「ジェロボアム。さらにはお地蔵さんくらいの大きさになりますと、「ネブカドネザール」の名前があるんだそうですね。
シャンパンのマグナムで思い浮かべるものに、写真家集団があります。「マグナム」。1947年に、ロバート・キャパが中心になって作られた写真家集団のことですね。
「マグナム」magnum はもともと「量が多い」の意味なんだとか。シャンパンに限ってのことではありません。
ただ、写真家集団の「マグナム」については、シャンパンと大いに関係ありでしょう。
1947年の春。ニュウヨーク西53丁目に近代美術館があって。その二階がしゃれたレストラン。ある日、ここにキャパが言い出して、友人たちとランチ。たぶん、シャンパンのマグナムも並んでいたことでしょう。
この時に、大まかな「マグナム」の主旨が決められたんだそうです。
その正式な届出がなされたのが、1947年5月22日のことであったという。
正しくは、「マグナム・フォト社」。「いっさいの写真藝術に関する事業」。定款には、そのように書かれていたそうですが。
シャンパンとキャパの関係については、一冊の本を紹介するだけで、充分でしょう。アレックス・カーショウ著『血とシャンパン』。これはロバート・キャパの伝記になっています。原題もまた、『ブラッド・アンド・シャンパン』です。
この本の中に。

「三人はタクシーで有名なカフェ・フーケへ行き、キャパは最高級のシャンパンを注文した。」

ここでの「三人」は、イングリッド・バーグマンと、キャパと、アーウイン・ショオと。
キャパと、ショオはイングリッド・バーグマンが女優であることを識っていました。映画を観ていましたから。でも、バーグマンの方ではキャパもショオも識らなかった。
1945年6月6日。イングリッド・バーグマンは巴里のオテル・リッツにチェックイン。
キャパもショオもたまたま同じホテルに泊っていて。これまた偶然に、チェックインするところに出会したのですね。
それでキャパたちはバーグマンにディナーの招待状を。その招待状があまりに傑作だったので、バーグマンは招待を受けることに。
フーケでシャンパンを飲んだ後、マキシムで食事しています。マキシムの後は、モンマルトルのバアで、明け方まで踊り明かしたという。

シャンパンが出てくるミステリに、『月長石』があります。1863年に、英国の作家、ウィルキー・コリンズが発表した長篇。ミステリの古典だとされています。

「わたしは穴蔵へシャンパンの壜をとりにゆかせ、大コップ半分のシャンパンをわたしの手で飲ませました。」

ここでの「わたし」は、「ジェニングス」という青年。医者に見放された瀕死の病人に、シャンパンを飲ませる場面。なんと、それで患者は一命を助けられるのですが。また、『月長石』には、こんな描写も出てきます。

「今日のベタレッジは、極上の黒服と、とびきり固い白ネクタイで、ものものしく着飾り、私たちを迎えた。」

ここでの「白ネクタイ」は、ホワイト・タイのこと。つまり、燕尾服を着ているわけですね。
1860年頃の英国では、固く糊づけされたホワイト・タイがより礼儀に叶ったことだったのでしょう。
どなたか固い白ネクタイが似合う燕尾服を仕立て頂けませんでしょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone