ブルックナーとポークパイ

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ブルックナーといえば、アントン・ブルックナーでしょうか。アントン・ブルックナーは、謙虚なお人柄だったみたいですね。
アントン・ブルックナーは、1824年の生まれ。オーストリアの郊外、リンツの近くで。このリンツからブルックナーがウイーンに出るのは、1868年ころのことなんだそうです。この頃の話なんですが。
ブルックナーにとってのはじめての、指揮。オーケストラの前に立って、最敬礼。で、じっとそのまま動かない。で、コンサート・マスターがブルックナーに小声で、訊く。「何か?」これに対して、ブルックナー。
「まあ、皆さんのほうからお先に」
と、言ったとか言わないとか。この謙虚な姿勢と関係があるのか、ないのか。ブルックナーは何度も何度も譜面を書き直した作曲家でもあります。『交響曲第0番』があるのも、ブルックナーくらいのものでしょうね。
これははじめに書いたものの。捨てるに捨てらなくて、後で復活させたためだと、伝えられています。
ブルックナーが1887年に完成させたのが、『第八番』。これはブルックナーが尊敬するヘルマン・レヴィに捧げたもの。ヘルマン・レヴィはブルックナーの譜面を見て、「演奏不可能!」。で、もう一度最初から作り直して、1890年に完成。
ブルックナーが出てくるミステリに、『森を抜ける道』があります。コリン・デクスターが、1992年に発表した物語。

「CD ですよ。ブルックナーの第八番です。」

これは主任警部、モースの科白。また、こんな描写も。

「デイリーが凍りつくような冬の朝も焼けつくような真夏の日中にもかぶっていたカーキ・グリーンのポークパイ・ハットを……」。

これは、ジョージ・デイリーという男の帽子なんですね。クラウンの形がポークパイに似ているので、その名前があります。クラウン頂上が、丸く、平たく、凹んだスタイルのものですね。

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