サガンとボタン

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サガンは、フランスの作家ですよね。フランソワーズ・サガン。
サガンの第一作は、『悲しみよ こんにちは』。1954年のことです。サガンが、十八歳の時。サガンは『悲しみよ こんにちは』が好評で、やがて時代の寵児となってゆくわけですね。
サガンはかなりの自動車好きで、スポーツ・カーを何台も乗りついでいます。
サガンの訳者でもある朝吹登水子は、1954年にサガンの自宅を訪問。この時、サガンはブルーの水玉模様の部屋着であらわれたという。
フランソワーズ・サガンが、1980年年に発表した小説に、『愛は遠い明日』があります。この中に。

「マリアは髪を乱して一九四〇 年代に流行した歌の一つ《メランコリー》 を歌っていたし…………」。

これは、リールの町のナイト・クラブでの様子なんですね。『メランコリー』は、佳い歌です。日本では昔、松尾和子が歌っていました。
1958年頃、赤坂に「クラブ・リキ」というのがあって。この「クラブ・リキ」で、『メランコリー』を歌っていたのが、若き日の松尾和子。松尾和子の『メランコリー』が評判になって。それを聴きに行ったのが、フランク永井。実質的には、松尾和子をスカウトしたのは、フランク永井だったそうです。
それはともかく、松尾和子の『メランコリー』は、絶唱。頭の中が真空になって、薔薇色の霧で満たされます。

♬ メランコリー、 やるせなく……………

たしか、そんな風にはじまるんでしたね。
サガンの『愛は遠い明日』の中に、こんな描写があります。

「片足の上で身体を左右にゆらしながら、糊のついたカラーのボタンを苦労してはめようとしていた。」

これは、ゲレという男の仕種。もちろん、スモーキングを着ているわけです。本式の正装用のシャツには、カラー・ボタンがあります。このカラー・ボタンを使って、襟をカラー・スタンドに留めるわけですね。
つまり、カラーと、シャツ本体とが、別々なので、時には正式のシャツを着てみたいものですね。

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