ウィリスとウイリアム

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

ウィリスは、ジープの名前ですよね。「ウィリス・オーヴァーランド」社が作ったので、俗に「ウィリス」と呼ばれたことがあります。
小型四輪駆動車。1940年代のことです。戦後、日本にやってきたアメリカ兵が乗ってたジープにも、たぶんウィリス社製はあったでしょう。
「ギヴミー、チューイングガム!」の話は、残念ながらほんとうのことです。私自身、子どものころに、その経験がありますから。
町中をジープが通っている時、少年が跡を追うと、チューイングガムとは限らず、アメリカ製のキャンディーなどを車から投げてくれたものです。
ほぼ、同じ頃、そのアメリカ製のジープを買った女の人がいます。
鴨居羊子。往年の下着デザイナー。いや、戦後の日本における下着改革者であったお方。

「アメリカ軍払い下げの小型ジープを見つけた。みるも無惨なオンボロジープ。修理屋のおじさんはそれを丹念に直し、銀色の塗料を塗り、五万円で売ってくれた。」

鴨居羊子著『わたしは驢馬に乗って下着を売りにゆきたい』に、そのように書いています。
その頃、鴨居羊子は、銀色のジープに乗って下着を売りに行ったわけですね。それにしても、カーキ色をシルヴァーに仕上げたところは、さすが鴨居羊子でありましょう。
終戦後間もなくの「五万円」は今のどのくらいになるのでしょうか。
銀色のジープとほぼ同じ時期。鴨居羊子は、男性用下着をもデザインしています。

「ウイリアム・シャツという男女兼用の肌着を売りだしたころのことを思いだす。」

同じ著書の中に、そのように書いています。ウイリアム・シャツは、今でいう「ボーダー柄」のジャージだったらしい。それで、同じ素材で、前開きなしのブリーフも。
日本における前開きなしのブリーフは、この時が最初であったとも。
それはともかく。細番手のコットン・ジャージで、色無地であれ、ストライプ柄であれ、上下セットの下着も悪くはないでしょう。誰に見せるわけでもありませんが、ジープに乗るにもふさわしいものかも知れませんね。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone