ラザールは、人の名前なんでしょうね。
L az ar e と書いて、「ラザール」。これがもし、偉いお坊さんだったりすると、サン・ラザールということになるのでしょう。
パリには、「サン・ラザール」があります。地名でもありますが、「サン・ラザール駅」は、パリの主要駅のひとつになっています。
1877年に、モネは『サン=ラザール駅』を描いています。今は、サン・ラザール駅の全景を、正面から眺めるのは、なかなか難しい。そんなこともあって、モネの『サン=ラザール駅』は貴重であります。
クロオド・モネは、何枚もの『サン=ラザール駅』を仕上げています。モネは、1877年の1月。サン・ラザール駅を正面から見える場所に、部屋を借りて。毎日、毎日、何枚ものスケッチを。その結果に生まれたのが、一見さりげない、日常にとけこんだ風の、『サン=ラザール駅』なのです。
明治四十一年に。このサン・ラザール駅から、倫敦に向ったのが、永井荷風。
「午前十時過ぎに巴里なるサンラザールの停車場を発した倫敦行きの急行列車は………………………」。
永井荷風は、『ふらんす物語』の中に、そのように書いています。
サン・ラザールが出てくるミステリに、『シャンゼリゼは死体がいっぱい』があります。1956年に、レオ・マレが発表した物語。これは、フランスの街が舞台ですから、サン・ラザールが出てくるのも、当然でしょう。
また、『シャンゼリゼは死体がいっぱい』には、こんな描写も。
「だが、身なりの方は、スモーキング から、髪の感じにより似合ったラコステのシャツに着替えていた。」
これは、若いジャーナリストの、ジュル・ラパスタンという男の様子。つまり、ディナー・ジャケットから、ポロ・シャツに着替えていたわけですね。
L ac ost e は、もちろんルネ・ラコステの名前からきたいます。が、フランス人の発音は、「ラコスト」に近いのです。
なにか美事なポロ・シャツで、サン・ラザール駅に行ってみたいものですね。