カウボーイとカラー・ステイ

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カウボーイは、牛追い人のことですよね。カウを導く男なので、カウボーイ。カウボーイは、馬に乗って牛を従える。
カウボーイは、西部開拓時代には欠くことのできない職業でした。西部で育てた牛を東部に送ると、十倍の値段がついたからです。
ところで、西部開拓時代とは、1860年から1890年の間のこと。これはイギリスでの、ラウンジ・スーツ発展期とぴったり重なっています。
カウボーイが偏愛したもののひとつに、ブルー・ジーンズがあるでしょう。ブルー・ジーンズは馬に乗るのに、都合がよかった。尻にミミズ腫れができなかったから。腰にぴったりフィットしていたから。これがルーズなズボンなら、尻に皺が寄って、ミミズ腫れが生じてからです。
カウボーイが細身のボーイ・ジーンズを熱愛した理由はそこにあったのです。また、洗えば洗うほど、ブルーの色が冴えてくれたのも、好都合だったのでしょう。
カウボーイが新品のブルー・ジーンズを穿いたまま、川に入った。これもまんざらウソでもないでしょう。当時のボーイ・ジーンズは、防皺加工がされていなかった。新品は洗うと、少なくとも二割は縮んだでしょう。そうやって脚にフィットさせることも、可能だったのです。
カウボーイが出てくる小説に、『オーギー・マーチの冒険』があります。1953年に、ソール・ベローが発表した物語。
『オーギー・マーチの冒険』は、ソール・ベローの半自叙伝とも読める小説。つまり時代背景としては、1920年代からはじまります。

「そして、カウボーイのように今にも発射しそうだったので…………………。」

これは警官が拳銃を構えた時の様子。
また、『オーギー・マーチの冒険』には、こんな描写も出てきます。

「彼のワイシャツはいつもカラーに鯨のひげを入れて引出しの中にしまってあり……………………。」

これは、ジョー・キンズマンのシャツのこと。
「鯨のひげ」。おそらく、「カラー・ステイ」c o I l ar st ay のことかと思われます。
今は多くプラスチック製ですが、昔は鯨のひげ製だった。シャツの襟の裏に入れておく、着脱式の芯のこと。カラー・キーパーはれっきとした和製英語です。
紳士の着るシャツにはたいてい、着脱式のカラー・ステイになっています。
むかしカウボーイの着たウエスタン・シャツは、固定式カラー・ステイが多い。労働用の、量産のシャツだったからでしょう。

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