ゴンクールとコクトオ

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ゴンクールは、十九世紀、フランスの文人ですよね。よく、「ゴンクール兄弟」と称されるのは、ご存じの通り。
エドモン・ゴンクールがお兄さんで、ジュール・ゴンクールが、弟。このゴンクール兄弟で書いたのが、『ゴンクール日記』。故き佳き時代の巴里を知る上で、貴重な資料でしょう。

「あぶった海藻の葉の中に米飯を小さく巻いたもの………………」。

1878年11月6日の、『ゴンクール日記』に、そのように出ています。これは、ゴンクール兄弟がはじめて見た日本ののり巻きのことなのです。
この日、ゴンクール兄弟は、松方正義に招かれて、のり巻きを食べています。そして、ゴンクールは日本料理について、こんなふうに書くのですね。

「舌の細胞に、こまかで、微妙で、複雑で、とらえどころのないさまざまな感覚の堆積を与える効果ある料理…………………。」

さすが、ゴンクール、見るとこ見てます。それは少し前までの日本人の感覚がいかに繊細であったを、間接に指摘した言葉でもあるのでしょう。
この話は、河盛好蔵著『巴里好日』に出てきます。また、『巴里好日』には、ジャン・コクトオの話も。
河盛好蔵は、1929年に、コクトオに会っているのですから。

「コクトオはこの時四十歳くらいであったが、二十代の青年のように若々しかった。」

では、どうしてコクトオは「若々しく」見えたのか。私の勝手な想いではありますが。
ストライプのシャツに原因があるのでは。縞のシャツは男を若く見せてくれます。
コクトオの縞のシャツをよく見ると。襟の縞と、見頃の縞とが違っていたり。
コクトオはよく「アルニス」で、シャツを仕立てていた。で、襟がすり切れてくると、交換。この時、同じ生地がないと、平気で似よりの縞柄を選んだ。
その微妙な柄違いが、コクトオの魅力にもなったのですね。

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