スズメバチは、蜂の一種ですよね。多くの蜂のなかで、もっとも大きい蜂なんだとか。
体長四センチにもなるスズメバチも。いちばん刺されたくはない種類の蜂でもあります。
スズメバチを英語に直しますと、「ワスプ」w as p 。
「ワスプ」はまた、アメリカの略語でもあって。「陸軍航空隊婦人操縦士」のこと。
「ウーメンズ・エアフォースサーヴィス・パイロット」の頭文字から、「ワスプ」と呼ばれるんだそうですね。
頭文字の「ワスプ」にはもうひとつありまして。「ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント」。アメリカの社会に隠然たる力を持っているらしい。刺されると痛いかも。
スズメバチが出てくるミステリに、『スズメバチの巣』があります。1997年に、
パトリシア・コーンウェルが発表した物語。
「だが一度ならず刺された経験のあるウエストは、スズメバチの巣がどんなものかよくわかっていた。」
ヴァージニア・ウエストは、シャーロット市警の署長補佐という設定になっています。
ここでの「スズメバチの巣」は、比喩で、ある団体の通称なのですが。
スズメバチが出てくる小説に、『もうひとつの街』があります。2005年に、プラハの作家、ミハル・アイヴァスが書いた不思議な小説。
「夜、ソファで本を読んでいると、鏡の奥からスズメバチの鈍いブーンという羽音が聞こえ、ときには、なにか単語のような音が聞こえることもあり……………………。」
場所はもちろんプラハの「彼」の自宅と設定されています。
『もうひとつの街』は、「彼」が冬、プラハの街で一冊の古書を買うところから幕が開くのですが。
「濃い菫色のビロードで装丁された本を思い切って書棚の奥から取り出してみたものの、本には、書名も、著者名も記されていなかった。」
でも、「彼」はその本を買う。中を開いてみると、見たことのない言語、読んだことのない活字が並んでいて。不思議な物語の幕開けらしい内容になっています。
布装の本は珍しくはありません。ビロードの布装もあるでしょう。が、菫色のビロードでの装丁本は、それほど多くはないでしょう。フランス語なら、「ヴィオレ」でしょうか。
どなたか菫色のビロードのウエストコートを仕立てて頂けませんでしょうか。