ハンカチとパテック

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ハンカチは、ハンカチーフのことですよね。
もともと、「カチーフ」という頭に飾る布があって。やがてそれを「手」に持つようになったので、ハンカチーフと呼ばれるようになったんだそうですね。
そして、ハンカチーフを短くして、ハンカチ。ここにはなんの不思議もありません。でも、
「ハンカチ」なのか、「ハンケチ」なのか。今は「ハンカチ」と口にすることが多いようです。が、戦前にはむしろ「ハンケチ」がよく用いられていたらしい。

「日本製レースのオランダアムステルダム萬國博覧會にて聲價を得たる第二號レース婦人用ハンケチは、蘭貨百八十弗にて賣却の定約濟みになりたることは……………………。」

明治十六年『朝野新聞』十月六日付の記事には、そのように出ています。見出しは、「日本製レースの榮譽」となっているのですが。
明治十六年の新聞には、「ハンケチ」と書かれているのです。「ハンカチ」の表記よりはるか以前に。つまり言葉だけで申しますと。「ハンカチ」より「ハンケチ」の言い方のほうが先だったとは言えるでしょう。
ハンカチが出てくる小説に、『選ばれた女』があります。アルベール・コーエンが、
1968年に発表した物語。

「………彼は、ハックスリのように、左袖にハンカチを差し込んだ。これがオックスフォード流だ。無造作なエレガンス……………………。」

これは「アドリアン」という人物が、ハックスリという英国人の真似をしている場面。たしかにハンカチを左袖口に挿しておくやり方もあるようですね。
ところで、アドリアンはどんな腕時計を嵌めているのか。

「なあ、ヴェルメーレン、俺のこの腕時計をちょっと見てみろよ、パテック・フィリップだ。スイス一のブランドだ。」

それは2500スイス・フランだった、と。ソリッド・ゴールドの腕時計。
パテック・フィリップは、1839年の創業。アントワーヌ・パテックと、アドリアン・フィリップの二人によって。かのアインシュタインもまた、「パテック・フィリップ」の愛用者だった、とか。あるいは、チャイコフスキーも。
一貫して、手づくりの、高級品だけに絞っての企業方針。
どなたか手縫いのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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