パリとバックスキン

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パリは、フランスの都ですよね。花の都パリ。
多くの人にとって、パリは恋人でしょう。
そういえば、『パリの恋人』。1957年の名画。オオドゥリイ・ヘップバーンと、
フレッド・アステアの共演。
パリはどこを撮っても映画の背景になる街ですね。
パリでもさらにパリらしいのは、サンジェルマン・デ・プレでしょうか。カフェがあって、教会があって。少し歩くと、サン・シュルピス。宗教関係の用品、小道具の専門店がたくさん並んでいます。
サンジェルマン・デ・プレに長くお住まいだったのが。サガン。フランソワーズ・サガンは、パリ左岸にお暮らしだったわけですね。

「これはこの一九七一年のパリの春における、私一人のケースに限ったことではない。」

サガン著『心の青あざ』の一節に、そのように書いています。
『心の青あざ』は、1972年の発表。この頃のサガンの愛車は、アストン・マーティン。パリの町を誰よりも最速で走らせるのも、サガンだったのですが。
パリが出てくる小説に、『セーヌ川の書店主』があります。2013年に、ニーナ・ゲオルゲが発表した物語。

「ママンはもちろん、パリでわたしの身に何かおきるんじゃないかと心配している。」

とにかくセエヌに舟を浮かべて、それが本屋というのですかr、愉快ではありませんか。しかもそれは、「人生処方舟」。客の悩みによって、本を選んでくれるのです。

「……………十万ユーロ出すから、鹿皮で装幀されたヘミングウェイの初版本で、ヘミングウェイ直筆の旧友トビー・オットー・ブルース宛の献辞があるものを…………………………。」

そんな注文もあったりするのですが。「鹿皮」には、「バックスキン」のルビがふってあります。
雌鹿、バック b uck の革なので、バックスキンなんですね。
バックスキンで装填された手帳を愛用していたお方に、安藤鶴夫がいます。

「余計な付録は全部とって、渋いダーク・ブルーかなんかの、バックスキンの表紙などに直しては、使っている。」

安藤鶴夫著『巷談 本牧亭』にそのように書いています。
手帳は、「ラジオ東京」のもの。それを神田の「文久堂」へ持っていって、装填し直してもらうんだとか。
安藤鶴夫はグレイの服が好きで。『巷談 本牧亭』には、「銀座の百番館」と出ています。
百番館は聞いたことがないので、たぶん「壱番館」のことでしょう。
どなたかバックスキンのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。色はもちろん、渋いダーク・ブルーで。

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