イーリアスとイートン・カラー

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イーリアスは、古代ギリシアの長篇詩ですよね。
『イーリアス』の作者は、ホメロスだと考えられています。トロイア戦争以降の物語だと説明されているので、だいたい紀元前千年くらいの時代ではないかと思われます。
いずれにしても、古代ギリシア最古の長篇詩であることに間違いありません。今からざっと三千年前の叙事詩ということになります。
では、作者のホメロスはいったいいかなる人物だったのか。これがほとんど分かっていないのですね。
およそ紀元前八百年頃の生まれではないか、と。スミュルナ、もしくはキオス島の生まれではないか、と。また、盲目の詩人だったとの説もあるようですが。
古代ギリシアにも多くの詩人がいたと、伝えられています。その中でもホメロスが特異だったのは、いわば「職業詩人」であったこと。本業、もしくは副業を特には持っていなかった。
では、どのように詩を詠んだのか。
これは詩というより「唄」といったほうが分かりやすいかも知れません。
古代ギリシアの時代、「アオイドス」 aoid o s という職業があったらしい。町々を歩いて、曲を唄う人。「キタリス」 k ith ar is という名前の竪琴を弾き、それに合わせて唄う。
それが後に、『イーリアス』という長篇詩になったのだ、と。

「………勢いのよい羊らを早速にも連れて来るがよい、また気をなごめる葡萄酒をも調えて来い……………………。」

ホメロスの『イーリアス』の一節に、そのように出ています。

「青銅づくりの七枚皮の、その盾はテュキオスが 技をつくして拵えたもの…………。

当時の風俗を識る上でも貴重な資料となっています。
若い頃から『イーリアス』の読者だった人物に、ルイスがいます。
クライヴ・ステイプルズ・ルイスは、1898年11月29日。アイルランドに生まれています。アルスターのベルファストに於いて。

「後年わたしが『イリアス』を読み、それに興味を抱くようになったのは、ひとつには
『イリアス』が『ソーラブとラスタム』のことを思い出させたからである。」

1955年に、ルイスが発表した自叙伝『喜びのおとずれ』に、そのように書いています。
またルイスは少年時代を振り返って、こうも書いているのですが。

「ところが今、黒い色の厚ぼったい服を着せられてイートン・カラーで首をしめつけられ、息がつまり、汗はかくし、むずがゆいし、足は履きなれない靴で痛んでいた。」

この制服とルイスは相性が悪かったのか、学校も辞めて、個人教育を受けることになったのですが。
イートン・カラーはたしかに特殊な襟です。「紳士」であるのも、たいへんなことなんでしょう。
イートン・カラーのなによりの特徴は、襟を上着の外に出すやり方。イートン・カラーだけに許される着こなし方なのです。
どなたかイートン・カラーもふさわしいスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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