アーティストは、藝術家のことですよね。ひと口に藝術家と申しましても、その分野には広いものがあります。
画家だとか、作家だとか、音楽家だとか。では、噺家はどうなのか。もし、アーティストを「藝人」だと解するなら、当時、噺もアーティストの仲間なんでしょうね。
音楽家の中には、歌手も。歌手で、「藝」を感じさせてくれるなら、もちろん「アーティストでありましょう。
むかしの雑誌には「アーティスト」の欄が少なくありませんでしたね。毎号毎月、ある「アーティスト」を取り上げて、語る。なかなか面白い記事があったものです。
たとえば1970年代の『メンズ・クラブ』にも、「今月のアーティスト」というコラムがあったような記憶があります。
「近年、アメリカはもとより世界中で異常なノスタルジック・ブームが巻き起っている中で、マンハッタン・トランスファーは、数あるアーティスト達を押しのけて急速に台頭してきた最も期待されている新進コーラス・グループだ。」
筆者の、花岡晨夫は、そのように書いています。1975年『メンズ・クラブ』10月号に。
そういえば、「マンハッタン・トランスファー」、よく聴きましたね。
「マンハッタン・トランスファー」は、1973年の結成なんだとか。ティム・ハウザー、アラン・ポール、ジャニス・シーゲル、ローレル・マッセーの四人組。男女二人づつの、コーラス・グループ。
1976年には『タキシード・ジャンクション』を発表しています。
「マンハッタン・トランスファー」は舞台衣裳にも凝っていて。ある時などは、ホワイト・タイ姿で、つまり燕尾服をさらりと着こなしたりもしています。
1975年というと、今から四十五年ほど前の話ですが。この『メンズ・クラブ』10月号の広告頁に、アーガイル・ホーズが出ています。
それは当時、大阪にあった「ロビン」という靴下メイカーが掲載している宣伝。でも、同じアーガイル柄のホーズしか掲載していないのです。謙虚というか、この道一筋というべきか。
アーガイル argyl e は、スコットランドの「アーガイル」にはじまった柄なので、その名前があります。
ただし、地名や氏族名としては、Argyll と綴ることになっています。
さて、アーガイル・ホーズを履いて。「マンハッタン・トランスファー」のレコードを探しに行くとしましょうか。