ウイリアムとウエイストコート

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ウイリアムは、男の人の名前ですよね。たとえば、ウイリアム・ワイラーだとか。
ウイリアム・ワイラーは、アメリカで活躍した映画監督。かの名画『ローマの休日』を監督したのも、ウイリアム・ワイラー。説明するまでもなく、オオドゥリイ・ヘップバーンの出世作ですよね。
オオドゥリイ・ヘップバーンといえば、『おしゃれ泥棒』。1966年の、ハリウッド映画。これまた、ウイリアム・ワイラー監督。
オオドゥリイ・ヘップバーンと、ピーター・オトゥールの共演。この美男美女がドロボーになるのですから、面白くないはずがありません。
ヘップバーンのお父さんが、名画の偽作家という設定。お父さんの偽作が堂々と美術館に飾られているのは、具合が悪い。そこで本門の名画泥棒の、ピーター・オトゥールと組んで…………………。
この『おしゃれ泥棒』の映画音楽を担当したのが、ジョン・ウイリアムズ。えーと、ウイリアムではなくて、「ウイリアムズ」ではありますが。
ウイリアムとおしゃれも、まんざら無関係でもなくて。ウイリアム・リー。ウイリアム・リーは、1563年にイギリスに生まれています。ウイリアム・リーは、小さな教会の牧師でした。
ある日の夜、奥さんがせっせと靴下を編んでいることに気づいて。なんとか奥さんを楽にしてあげられないものか、と。そこで、試行錯誤の末に、足踏み式の靴下編機を完成、1558年頃のことであります。
ウイリアム・リーの時代には、靴下はすべて手編みが常識だったのです。
ウイリアムが出てくるミステリに、『最後に笑った男』があります。
フリーマントルが、1980年に発表した物語。

「よく来たな。さあ、坐ってくれ」ウイリアム・ファウラーが声をかけた。

これは、アメリカ大統領の執務室。ウイリアム・ファウラーは、大統領という設定になっています。
また、『最後に笑った男』には、こんな描写も出てきます。

「ときには一日のうちの時間に合わせてスーツを替え、あつさにめげずチョッキを着る習慣を捨てなかった。」

これは、打ち上げ基地の所長、ディーター・マラーの着こなし。アメリカ式には、ヴェスト、イギリス式には、ウエイストコートでしょうか。
ウエイストコートの歴史は古く、ウイリアム・リーももちろん、着ていたはずです。
ただ、今のものよりはるかに着丈が長く、膝くらいまであったのです。ボタンの数も二十個ほど。ぜんぶは留められないので、中央の数個のボタンだけを。
それが時代とともに短くなって、今のウエイストコートになったのです。ウエイストコートの尖った先端は、その時代の名残りなのですね。
なにかお気に入りのウエイストコートで。テネシー・ウイリアムズの初版本を探しに行くとしましょうか。

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