三界は、もともと仏教での言葉ですよね。
仏教用語から日常語になったものは、少なくないでしょう。「極楽」なんかもそうなんでしょうね。
「三界」も、また。三界と書いて、「さんがい」と訓むんだそうですが。
「三界」にもいろんな解釈があるんでしょうが。ひとつには、「過去・現在・未来」をひっくるめて、「三界」。そんな説もあるようです。
たとえば、「三界に家なし」なんて言い方もあります。
あるいは、「三界の慈父」。困った人を助ける仏のことなんだとか。
「………東西北の三界は、高卑の山、屏風の如くに立ち廻りて……………………。」
1223年頃の成立だと考えられている『海道記』にも、そのように出てきます。これは当時の鎌倉の様子を描写している場面でのこと。
そういえば小説にも、『三界の家』があります。昭和五十八年に、林 京子が発表した創作。
この場合の「三界」は、父、母、私を取り巻く「家」を表しているかでしょう。
「そのころに覚えてフレンチトーストを、母は、私たちのおやつに、よく焼いてくれた。ステーキには必ずフレンチポテトと、玉葱を薄切りにしたバターいためをつけた。母の料理にはなんでもフレンチがつき……………………。」
林 京子は『三界の家』の中で、そんなふうに書いています。
同じ年に、林 京子が書いた小説に、『上海』が。この中に。
「美人多いね、とサハリルックの男が、すれ違う娘たちを振り返っていった。」
林 京子は『上海』のなかで、「サハリルック」と書いているのですが。それも、何度も何度も、「サハリ」が出てきます。
これは主人公が三十数年ぶりに上海をツアー旅行する物語。上海ツアーのひとりに、
「サハリルックの男」が参加しているので、繰り返しそれが出てくるわけですね。
たしかに「サファリ・ジャケット」は、旅には最適の上着でしょう。
「サファリ」s af ar i 自体の英語は、1860年頃から用いられているんだとか。
藪の小枝にも引っ掛からない生地が使われているのが、特徴。
また、本来、「狩猟旅行」のための上着ですから、季節に関係なく着ることも可能であります。
どなたか1930年代の「サファリ」を再現して頂けませんでしょうか。