カフェとカノティエ

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カフェは珈琲のことですよね。c afé と書いて、「カフェ」と訓むわけです。
でも、珈琲を飲ませてもらう場所のことも、「カフェ」と言います。そして、さらに古語としての「カフェエ」があります。明治末期から昭和のはじめにかけては、「カフェエ」の言葉が使われたものです。
古語としての「カフェエ」は、今ならさしづめキャバレエに近いのでしょうか。まあ、それはともかく「カフェ」もまた面白い言葉のひとつですね。

「珈琲を啜る時、富子は今度は愛嬌よく優しい声になって……………。」

明治四十一年に、永井荷風が発表した小説『地獄の花』に、そんな文章が出てきます。
永井荷風は、「珈琲」と書いて「カフエー」のルビを添えているのですが。
ということは、荷風は場所としての「カフェエ」にも足を運んだでしょうし、飲むカフェの経験も、もちろんあったのでしょう。

「白いエプロンの紐を大きく前で蝶結びにした間に、柴山細工の根付をつけたビールの栓抜きをはさみ、金鎖のついた高價な鉛筆をぶら下げてゐるのは、銀座邊のカツフエーでのみ見られる風俗であらう。」

永井荷風が、昭和三年に書いた『カツフエー一夕話』には、そのように出ています。荷風は、「カツフエー」と書いています。

カフェが出てくるミステリに、『太陽がいっぱい』があります。1955年に、アメリカの作家、パトリシア・ハイスミスが発表した物語。
もともとの題名は、『才人オプリー君』。それが1960年に、『太陽がいっぱい』の題で映画化。この映画が大ヒットしたので、小説のほうも後に、『太陽がいっぱい』となったものです。

「翌朝、カフェで朝食をとり、そのあと、ぶらぶらとビーチへ出かけた。」

『太陽がいっぱい』はイタリアの避暑地が舞台なので、当然の光景でもあるでしょう。
また、『太陽がいっぱい』には、こんな描写も出てきます。

「カンカン帽をぬぎ、カウンターがカーブしているむこう側に席をとった。」

これは、ハーバート・グリーンリーフの様子として。映画に置き換えますと、モーリス・ロネのお父さんということになります。
「カンカン帽」は、日本語。英語では、「ボーター」。フランス語なら、「カノティエ」。
ストロー・ハットを堅く仕上げた夏帽のことです。
どなたか粋なカノティエを作った頂けませんでしょうか。

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