ベイカー・ストリートは、ベイカー街のことですよね。Baker street と書いて、「ベイカー・ストリート」と訓むんだそうですが。
ベイカー・ストリートで誰もが思い起こすのが、シャーロック・ホームズでしょう。「ベイカー・ストリート221b」にホームズの住まいがあることになっています。
ロンドン、ベイカー・ストリート221b
シャーロック・ホームズ様
これでホームズ宛の手紙が着くんだとか。いや、そればかりか、専任の担当者がいて、ちゃんと返事までくれるんだとか。
ホームズの場合、ベイカー・ストリートが、住まい兼事務所。依頼人は、ベイカー・ストリートにやって来ることになっています。
一方、アメリカの私立探偵は、事務所が自宅とは別になっていることが多いようですね。たとえば、フィリップ・マーロウも、自他と事務所は別に用意されていました。これもまた、英米での違いなのでしょうか。
「私は仕事に一生懸命で、ベーカー街を訪ねている暇なんか薬にしたくもなかったし………」
1893年にドイルが発表した『株式仲買店員』の中で、ワトソンに、そのように語らせています。その当時から、ホームズの部屋が、ベイカー街にあったことは間違いないでしょう。
「シャーロック・ホームズは耳当てつきの旅行用ハンチングをかぶった顔を緊張させて………」
1892年の『白銀号事件』にそのような描写が出てきます。この文章から、絵師が、ディアストーカーを描いたので、シャーロック・ホームズのひとつの印象が生まれたわけです。
ベイカー・ストリートが出てくるミステリに、『陸橋殺人事件』があります。1925年に、英国の、ロナルド・ノックスが発表した物語。
「ベエカー街の素人探偵が慌てだした。」
これは、オートバイに乗った警察官が近づいて来たので。
また、『陸橋殺人事件』には、こんな文章も出てきます。
「そうなったって買物の表のなかへhemはいれなかったろうよ。」
これは遺されたメモをもとに推理している場面。あるいはha mの書き間違いだろう、とか。
「ヘム」h e m は、服などの「縁」のことです。「ドレスのヘム」だとか。
シャツにも「ヘム」がないわけではありません。シャツの裾、縁。シャツのヘムにあって欲しいのが、「ガシット」gusse t 。三角襠のことです。左右の両脇に、この襠があるために、シャツのヘムが破れにくいのです。
どなたかヘムの美しいシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。