燕尾服は、イヴニング・ドレスのことですよね。正式の夜会服のことであります。
燕尾服の略式が、ディナー・ジャケット。もし招待状に「ホワイト・タイ」とあったら、燕尾服着用の意味です。これが、「ブラック・タイ」なら、デディナー・ジャケットということになります。
細かい話ではありますが。燕尾服には、シングル・カフの礼装用シャツ。デディナー・ジャケットには、ダブル・カフのシャツを添えることになっています。
「………これまで紳士と称せらるる人が、燕尾服ならざる洋服を着て来たり………」
明治十九年『郵便報知新聞』二月二十八日の記事に、そのように出ています。
これは鹿鳴館での夜会の話として。明治十八年頃までは、当時の紳士にも燕尾服についての混乱があったようですね。
燕尾服が出てくるミステリに、『髑髏城』があります。1931年に、ディクスン・カーが発表した物語。
「………からだにぴったりあった燕尾服を着こなして………」
これは「ガリヴァン」という人物の燕尾服として。
また、『髑髏城』には、こんな描写も出てきます。
「ワイシャツのそで口に、エメラルドのカフスボタンがきらきら光っていた………」
エメラルドのカフ・リンクス。いいですねえ。
エメラルドをはじめ輝きのある宝石は、夜間にふさわしいカフ・リンクスとされます。
もし昼間のカフ・リンクスなら、パールやオニキスなどの穏やかな光沢のカフ・リンクスが最適のものです。
どなたかエメラルドの優雅なカフ・リンクスを作って頂けませんでしょうか。