ハットと馬巣織

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ハットは、鍔のある帽子のことですよね。鍔のない帽子を、「キャップ」と呼ぶのはご存じの通り。
ハットは人前では脱ぐ習慣があります。1940年代のアメリカでも。エレベーターに婦人客が乗って来たなら、男達は帽子を取るのが、礼儀だと考えられていたらしい。一方、女性が帽子を脱がないで良いのは、常識でしょう。
昔むかし、英国に、「キンセール卿」という貴族があって。このキンセール卿は、ジョン王の前でもハットを脱がなかったとの伝説があります。
当時、ノルマンディーを巡って、ジョン王と、フランスのフィリップ二世との間で戦があった。
この時、キンセール卿は、ジョン王に、一騎討ちを提案。イギリスの代表に選らばれたのが、ジョン・ド・コーシー。結果、ジョン・ド・コーシーの勝ち。
で、ジョン王はキンセール卿に、「望みのものを与えよう」。これに対してキンセールはこう言った。
「王の前でハットを脱がなくて良い権利を」。
こうしてキンセールは帽子を取らなくても良いことになったんだそうです。
ハットが出てくる『日記』に、『サミュエル・ピープスの日記』があります。

「………わたしの所望で、小間物屋をつれてきたので、わたしはその男から帽子を買った。
1667年3月29日のところに、そのような記述があります。ここでの「小間物屋」は、今の洋品店でしょうか。サミュエル・ピープスは、洋品店でも帽子を買うことがあったのでしょう。
また、『サミュエル・ピープス日記』には、こんな一節も出てきます。

「司祭は自分の独房に入っていた ー 馬巣織の布を肌にじかに着て………」

「馬巣織」は、ヘア・クロスのこと。馬の鬣を用いるので、その名前があります。
宗教的修行のためにわざとヘア・クロスのシャツを素肌に着ることがあったようですね。
馬巣織は今でも上着に使われることがあります。。芯地のひとつとして。たとえば胸の補強などに。これを「馬巣芯」などと言ったりすることがあります。
どなたかまるで馬巣芯など使っていないかのようなスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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