スポンジとスモック

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スポンジは、海綿のことですよね。sponge と書いて、「スポンジ」と訓みます。
英語としての「スポンジ」は、1500年頃から、用いられているんだとか。
風呂のなかで身体を洗うにも、スポンジを使う人もいるでしょう。あるいはまた、切手を貼る時にも。小さな丸い皿の中にスポンジが入っていたりするものです。
つまりスポンジの応用範囲にも、広いものがあります。と同時に、スポンジの歴史もまた、とても古いものです。
今のスポンジは化学的に作られています。が、昔のスポンジは、海の動物だったのですね。
スポンジ。海綿。もとを正せば、海の動物。ことに地中海に棲むスポンジが上質だとされたんだそうです。

スポンジが出てくる紀行文に、『回想録』があります。
1854年に、英国の作家、ジョージエリオットが書いた旅の記録。

「………窓に面する部屋の隅にささやかな洗面台があり、小さな白い洗面器とスポンジが中にあった。』

これはジョージ・エリオットがドイツ、ワイマールに旅して、ゲエテの旧宅を見学している場面でのこと。
ゲエテは朝、顔を洗うのにスポンジを使ったのでしょうか。
また、ゲエテ旧宅には、ゆったりとした肘掛椅子があって。晩年のゲエテは、この肘掛椅子で、珈琲を飲みながら読書するのを好んだとも、エリオットは書いています。
エリオットの『回想録』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「彼の装いはいつも、外套のリフォームとおぼしき灰色の布地のゆったりとした仕事着に………」

これはドイツの哲学者、グルッペ教授にエリオットが会ったときの印象として。
「ゆったりとした仕事着」。たぶん、スモックだったと思われます。「スモック」smock 。やや丈長の、ルーズな上着のことです。
どなたか外套のリフォームと思われるスモックを仕立てて頂けませんでしょうか。

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