フレンチは、「フランスの」という意味ですよね。「フレンチ・カンカン」などの言葉もあります。
おしゃれのほうでも、「フレンチ・ヒール」。これは女性用の中ヒール。ヒールの中程が美しいカーヴになっているのが、特徴。
「フレンチ・ブルー」は、「群青色」のことです。
「フレンチ・カフ」は、アメリカ英語。イギリスでいうところの「ダブル・カフ」のことです。「シングル・カフ」に較べて、やや略式の意味が籠められています。
フレンチが出てくる小説に、『マンハッタンの怪人』があります。1999年に、英国の作家、フレデリック・フォーサイスが発表した物語。
『マンハッタンの怪人』は、名作『オペラ座の怪人』を下敷きにした創作。もちろん、パリのオペラ座が舞台となっています。
パリのオペラ座がそもそもはじまったのは、1861年のこと。シャルル・ガルニエの設計によって。建築工事は、稀に見る難工事になったという。地盤があまりに複雑だったので。
その結果、オペラ座は、十七階建て。そのうちの七階は、地下部分。地下は、迷路に次ぐ迷路。怪人の十人や二十人は楽に暮らせる構造になっているんだとか。
フレデリック・フォーサイスの『マンハッタンの怪人』に、フレンチが出てきます。
「彼らはわたしをフレンチーと呼び、仲間に入れてくれた。」
これは「エリク・ルムハイム」の科白として。
また、『マンハッタンの怪人』には、こんな一節も出てきます。
「………黒のフロックコート、白いシャツに黒いネクタイというあんばいだ。」
これは「ダリウス」という男の着こなしについて。
とにかく時代背景が、十九世紀末なので、フロックコートが出てくるのも当然でしょう。
言うまでもないことですが、十九世紀のフロックコートは、昼間の日常着。
どなたか今の時代にも着られるフロックコートを仕立てて頂けませんでしょうか。