ガーターとガリック

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ガーターは、靴下留めのことですよね。garter と書いて、「ガーター」と訓みます。今の靴下はたいていゴム入りになっていて、ガーターが必要ではありません。
もちろん、「ソックス・ガーター」のことですが、これはアメリカ英語。イギリス英語では、「ソックス・サスペンダー」となります。
しかし。古代英語では女性用の靴下留めを、「ガーター」と呼んだのです。
その例は今なお「ガーター勲章」に遺されています。
1953年に、ウインストン・チャーチルは、エリザベス女王から「ガーター勲章」を受けています。
ここからも窺えるように、英国での最高位の勲章。国内外を含めて、25名までと決められているのです。
ガーター勲章は、1384年頃、エドワード三世によって制定されたと、伝えられています。
1384年頃、ある舞踏会で、ソールーズベリー伯爵夫人がブルーの靴下留めを落とした。ソールーズベリー伯爵夫人は当時、絶世の美女とされた人物。
ソールーズベリー伯爵夫人がガーターを落としたことに気づいたエドワード三世は、それを拾い上げて、自らの左脚に嵌めて、言った。

「それを悪しきと思う者に災いあれ」

まあ、結局のところ王は、ソールーズベリー伯爵夫人のバツの悪さを救ったわけですね。
この話から、後に「ガーター勲章」が定められたという。

ガーターが出てくる研究書に、『ファッションの歴史』があります。1965年に、ブランシュ・ペインが発表した論文。

「………小ぶりの赤い無地のマント、紫色のホーズの上に紫色のガーターを膝で交差させ、踝にあきがある金の靴をはいている。」

これは、1014年に、ドイツ王ハインリッヒ二世となった人物の着こなしとして。少なくとも1010年代に紳士用ガーターがあったことが窺えるでしょう。

ブランシュ・ペインの『ファッションの歴史』を読んでおりますと、こんな文章も出てきます。

「ガリック」と呼ばれたオーバーコートは、イギリスの聖歌隊や御者の服装としてよく知られている。

「ガリック」garrick は、ケエプ付きのコート。しかもケエプの枚数は少なくとも三段。多い場合には五段のケエプを重ねたものです。
どなたか現代版のガリックを仕立てて頂けませんでしょうか。

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