靴下は、ソックスのことですよね。短靴下。これが長靴下なりますと、「ホーズ」hose になります。
世の洒落者の中には、靴下に凝る人もいるようですね。カシミアの靴下だとか。キャラメルの靴下だとか。ヴァイキュウナの靴下だとか。凝りはじめるとキリがないのも、靴下かも知れませんね。
靴下が出てくる小説に、『菊池君』があります。石川啄木が明治四十一年に発表した物語。
「剰へ洋襪も足袋も穿いて居ず、膝を掴んだ手の指の大きさは、よく服装と釣合つて………」
これは主人公から眺めての「菊池君」の様子。時は、明治四十一年。場所は、釧路になっています。皆で料理屋に上がって、酒を汲み交わしている場面。時期は、冬。
その頃の釧路の気温は、マイナス25度前後だったとも、石川啄木は書いています。
また、啄木は『菊池君』の中で、「洋襪」と書いて、「くつした」のルビを添えているのですが。
菊池君も「私」も地元新聞の記者。ただし、競争紙の記者同士。
当時、石川啄木は実際に釧路で、『釧路新聞』の記者でしたから、その辺りの話は、実体験に基づくものなのでしょう。
もちろん、「菊池君」にもモデルがあって。その頃、『北東日報』の記者だった、菊池武治がモデルだったそうですね。
石川啄木は、『菊池君』の原稿を、明治四十一年五月八日に、書き始めたと考えられています。
また、啄木がはじめて菊池武治に会ったのは、明治四十一年三月二十日のことであったという。そしてなぜか啄木は、この野武士みたいな男をモデルに小説を書いてみようと、思ったらしいのです。
靴下が出てくるミステリに、『セットン夫人の子どもの事件』があります。1896年に、英国の作家、アーサー・モリスンが発表した物語。
「………水色の絹の靴下と黄褐色の靴です。これは子どもが身につけていた靴下として。
同じく、アーサー・モリスンが1894年に発表したミステリに、『クイントン宝石事件』があります。この中に。
「彼は、ツイードのクリケット帽を二つ購入していた。」
ここでの「彼」は、名探偵のマーチン・ヒューイットのこと。
クリケット・キャップは、クリケット競技から生まれたので、その名前があります。野球帽をもっと平たくした、八つ剥ぎのキャップ。それも頭にぴったりかぶるのが、特徴のものです。
というよりも今の野球帽は、クリケット・キャップをヒントに生まれたものなのです。
どなたかトゥイードのクリケット・キャップを作って頂けませんでしょうか。