アルマニャックとアルペン・ハット

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アルマニャックは、ブランデーのひとつですよね。たとえばフランスのブランデーを例にとりますと。大きく分けて、コニャックとアルマニャックとがあるのは、ご存じの通り。
コニャックもアルマニャックも同じく、フランスの地方名。コニャック地方で造られるブランデーと、アルマニャック地方で造られるブランデーと。

アルマニャックは、コニャックよりもはるかに古い歴史を持っています。少なくとも中世には、アルマニャック地方でブランデー造りがはじまっているらしい。
どうしてアルマニャック地方で、早くからブランデー造りがはじまったのか。それは中東からの蒸留術が、アルマニャック地方に伝えられたから。
いうまでもありませんが、白ワインを蒸留することで、ブランデーとなるわけですから。つまり、ブランデーはワインのエキスなのですね。これは香水とも似ています。花のエキスが、香水。ワインのエキスが、ブランデー。いずれもアランビックによるものです。アランビックは、その昔、アラビアで発明されたとの説があります。
1310年代のアルマニャックに、「ヴィタル・デュ・フール」というお坊さんがいました。この人が、1310年に書いた医学書の中にブランデーが出ているんだそうです。「アクア・アルデンテ」として。それは、「燃える水」の意味。
ヴィタル・デュ・フールは、この「アクア・アルデンテ」を貴重薬と考えたのです。アクア・アルデンテを飲むと、心が燃えて、明るく、元気な気分となり、それが病を治すのだと。また、切り傷の特効薬であるとも。
このアクア・アルデンテが、今日のアルマニャックであるのは、申すまでもないでしょう。

アルマニャックが出てくる小説に、『メリリーの痕跡』があります。1966年に、ハーバート・ブリーンが発表した物語。

「さあ、もう一杯」そして、皆のグラスにアルマニャックを少しずつ、パシャパシャと注ぎたした。」

これは「ベツィ・ドーラン」という女性のふるまいについて。
また、『メリリーの痕跡』には、こんな描写も出てきます。

「今、彼は怪しげなチロル帽を頭に載せ、明るい顔をしている。その帽子はぼくが彼に初めて会った頃から被っているもので、それは十四年も前のことだ。」

ここでの「彼」は、トム・ドーラン。ベツィの主人で、テレビのプロデューサーという設定になっています。
「チロル帽」。時に「アルペン・ハット」とも。本来の、アルプス地方の民族衣裳としてのアルペン・ハットは、今よりもワイドなブリムだったそうです。
どなたかクラシックなアルペン・ハットを作って頂けませんでしょうか。

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