ジプシーとシャッポオ・ド・パイユ

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ジプシーは、ロマのことですよね。ジプシーはよく用いられる言葉ですが、彼ら自身は、「ロマ」と呼ばれる方を好む傾向があるんだそうです。「ロマ」はもともと「人間」の意味があるという。
昔むかし、ひとつの誤解として、ジプシーはエジプトから来たと信じられていたらしい。そこで、エジプシャンから「ジプシー」の言い方が世に広まったんだ、と。

「クラゝの説によると黑い眼の子は意地が悪い、人がよくない、ユダヤ人かジプシイでなければ黑い眼色のものはない。」

明治三十八年に、夏目漱石が発表した小説『幻影の盾』に、そのような一節が出てきます。
『幻影の盾』は、アーサー王伝説に想を得た創作。漱石は、「ジプシイ」と書いているのですが。
日本の小説にあらわれた「ジプシー」としては、わりあいと早い例でしょう。
クララはウイリアムの恋人。ウイリアムの眼が黒いので、そのことをからかっている場面なんですね。

ジプシーが出てくる小説に、『グラン・モーヌ』があります。フランスの作家、アラン=フルニエが1913年に完成させた物語。

「ジプシーの編んだ柳製の小さなテーブルの上に彼の置いた蝋燭が、歩き廻る巨大な影を壁の上に投げていた。」

また、『グラン・モーヌ』には、こんな描写も出てきます。

「………私はといえば、リボンのついた大きな麦藁帽子をかぶり、この見知らぬ校庭の砂利の上に居残って、井戸のぐるりや、納屋の下をおずおずと覗きながら待っていた。」

これは十九世紀末の、少年の様子として。
麦藁帽子。フランスなら「シャッポオ・ド・パイユ」
chapeau de paille でしょうか。
どなたか十九世紀末のフランスのシャポオ・ド・パイユを編んで頂けませんでしょうか。

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