コントとゴブラン

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コントは、小話のことですよね。conte と書いて「コント」と訓みます。もともとはフランス語なんだとか。
小話というからには、短くて、しかもウィットがある、そんな話なのでしょう。
コントが出てくる日記に、『古川ロッパ昭和日記』があります。

「フォーリス」の歌、ハリキリのコントがやっとコツが掴めて来た。」

昭和十四年一月二十五日(水曜日)のところに、そのように出ています。
1月24日(火曜日)の昼は、「東京會舘」に行って、辛いカレーライスを古川ロッパは召し上がっています。
1月22日(日曜日)は、ホテルのグリルで。ポタージュと、ロブスターと、ハンバーグと、アップル・パイをお食べになって。
やはり美味しいものをたくさん食べないと、コントに「切れ」が生まれないのでしょうか。
コントはコントでも、読む方のコント。短くてウィットのあるコント。なかなか難しいものなんでしょうね。
大正末期から昭和のはじめにかけて名コント『阿呆宮』がありました。当時の『新青年』に掲載されていた読物のページ。その題が『阿呆宮』だったのです。
一時期、『阿呆宮』の執筆者だったのが、土岐雄三。随筆『阿呆宮殿、旧主の回想』に、土岐雄三はこんな話を書いています。

「『阿呆宮』こそ、わが初内職。四頁一回分金二十四円也は、当時タイマイなお金であった。」

そんなふうに書いています。とにかく、カレライスが十銭。女中の月給が、七円。土岐雄三はその後、銀行を辞めて、作家になっているのですが。
昭和九年『新青年』四月号の、『阿呆宮』に、こんなコントが出ています。

「ネクタイを五十二秒フラットで結ぶ。本週最高記録。但し、ゴブラン織りなり。」

昭和九年頃には、ゴブラン織りのネクタイがあったのでしょう。
「ゴブラン」gobelin はもともと、フランスの綴れ織りのこと。十五世紀、フランスのジャン・ゴブランがはじめたので、その名前があります。
どなたかゴブラン織りのネクタイを作って頂けませんでしょうか。

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