とんカツとトフ

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とんカツは、美味しいものですよね。とんは、豚肉の意味なんでしょう。カツは、カツレツから来ているのでしょう。日本語と西洋語との混成ですから、「とんカツ」と書くんだそうです。
とんカツは、とんカツ屋で食べた方が旨い。第一、千切りキャベツがたくさんついてくるような印象があります。それから、とんカツソース。店ごとにとんカツソースにも工夫が凝らされているようで。
とんカツには、とんカツソース。日本人の細かい神経の賜物でしょう。
一時、毎日のようにとんカツを召し上がった作家に、坂口安吾がいます。

「利根川に沿うた小さな町で、トンカツ屋とソバ屋の外に食堂がなく、僕は毎日トンカツを食い………」

坂口安吾が昭和十七年に発表した『日本文化私観』に、そのように書いています。取手に住んだ時期のことを。今から八十年ほどの前の話。今の取手にはいろんな店が並んでいること、言うまでもありません。
とんカツの元祖、カツレツが出てくる小説に、『作者を出せ!」があります。2004年に、英国の作家、デイヴィッド・ロッジが発表した物語。

「フェニモアはほんの少し顔を紅潮させ、しばらく黙ってカツレツを噛んでいた。」

また、『作者を出せ!』には、こんな文章も出てきます。

「バージェスとジョージは、自分たちだけの時は、雇い主を「めかし屋さん」と、いつも呼んでいた。

めかし屋さん。「トフ」toff は、「洒落者」の意味。1851年頃から用いられているイギリス英語。
どなたかトフに見えるスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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