田園とディナー・ジャケット

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田園は、郊外のことですよね。人は都会にずっと住んでおりますと、ふっと田舎が恋しくなるものです。緑の深呼吸がしたくなって。
人類の歴史が手つかずの山林、野山にはじまっているとするなら、時に緑滴る郊外へ行きたくなるのも当然でしょう。
ベートーヴェンに『田園交響曲』があるのは、言うまでもありません。1808年、ベートーヴェンが三十八歳の時に完成されています。
当時、ベートーヴェンは「パスクァーラティ館」の最上階、角部屋に住んでいて、ここからは田園風景を眺めることもできたんだそうですね。
1808年12月、『田園交響曲』演奏の前に、ベートーヴェンはこんなメモを書いています。

「パストラール交響曲は絵画ではない。
田園での喜びが人お心によびおこすいろいろの感じが現わされており………」

つまり『田園交響曲』は、田園での人びとの喜びを描いた音楽だったのですね。
ベートーヴェンの『田園交響曲』とは別に、小説の方では、『田園交響楽』があります。フランスの作家、アンドレ・ジイドが書いた創作。スイスが舞台になっているものです。
『田園交響楽』には、物語の主人公が、盲目の少女を演奏会に伴う場面があります。少女は音楽を聴いて、感動。物語の主人公はなんとかして、舞台での様子を伝えようとして。

「すべての音がまじりあう高いほうの極限なんだよ。」

これは「白」の説明として。ここから白と黒との説明が延々とはじまるのですが。

田園と題につく小説に『吸血鬼クリーヴ あるいはゴシック風味の田園曲』があります。フランスの作家、パトリック・マグラアの書いた短篇。この中に。

「夜の正装をしたクリーヴはとても立派に見えた。ディナー・ジャケットは非の打ちどころのない仕立てで………」

たしかにディナー・ジャケットは人を立派に見せてくれる衣裳でしょう。
著者のパトリック・マグラアはイギリス人。だからこその「ディナー・ジャケット」なのでしょう。
どなたか立派に見えるディナー・ジャケットを仕立てて頂けませんでしょうか。

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